――どんな変化があったんですか。
安彦 40代後半は子育てで疲れてましたけど、ホットフラッシュ(のぼせ)とか頭痛、動悸、息切れのような更年期症状は、そんなにひどくなかったんです。だから「私の更年期は軽いほうかも」とタカをくくってたら、閉経した後でメンタルがガタ落ちして。もう、朝起きたときから気分が沈んでるんですよ。
――起きられないとか?
安彦 本当に何もしたくなくて、実際に何もできなかったです。一番ひどいときは、1週間風呂も入らない、着替えない、歯も磨かないぐらい。仕事なんてもちろんできないし、床には洗濯物が散乱してるし……自分自身も家もグッチャグチャでした。
「その時期は性欲も全くなくて、回数は激減しました」
――ご家族の反応はどうでしたか。
安彦 それがちょうどコロナ禍のタイミングだったので、夫もニュースを見て「これからどうなるんだろう……」と気持ちが落ちていたようです。夫は6歳下なんですが、クリニックに行ったら男性ホルモンが激減していると言われて注射を打ったり。2人の不調の時期が重なって、お互いが自分のことで精いっぱいみたいな時期もありました。
ときどき「これじゃダメだ、人間として終わる」と思って、一念発起してお風呂を掃除するんですよ。でも、いざ風呂が沸くと入る気がなくなっちゃう。それでもなんとか歯を食いしばって風呂に入る、みたいな(笑)。
――自分自身との闘いですね。
安彦 頑張ろうとする自分と、足を引っ張る自分が両方いるみたいで。だからその時期は性欲も全くなくて、回数は激減しました。年に数回とか。
――更年期前後でそういう変化があったんですね。
安彦 まずは自分を立て直さないとマズイ状況だったので。ようやく最近、更年期を抜けてまた楽しくなってきた感じがあるんですけど、もう20~30代の頃のような性欲はないですね。でもまあ、そういうものかなと。
――そのことを寂しく感じますか?
安彦 いえ、若い頃と比べると私もガツガツしていないので、回数が減ったからイヤとかダメとは思わないですね。また機会があればするだろうし、「やりたくなったらやらせてもらおう」と思ってます(笑)。