経営統合に向けて交渉していたホンダ(三部敏宏社長)と日産自動車(内田誠社長)だが、2月6日に日産はホンダに協議打ち切りの意向を伝えた。両社の間で何が起きていたのか。

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「今の日産は部品をわざと高く購入している」

 日産の生産や調達部門に詳しい元役員は、経営トップに覚悟がないと批判する。

「国内では追浜工場(横須賀市)や横浜工場(横浜市)、海外ではメキシコ工場の一部が不要だろうが、内田誠社長も生産担当の坂本秀行副社長も思い切って工場を閉鎖する覚悟がない。

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日産自動車の内田誠社長(左)、ホンダの三部敏宏社長 ©時事通信社

 工場閉鎖で得られるコストダウン効果はそれほど大きくないが、社内外に危機感を示す効果がある。今後、ゴーン氏が取引先を1145社から600社に減らしたようなリストラも必要になる。下請け部品メーカーはさらに厳しい経営状況になるのだから、日産が自ら身を切る覚悟を示さなければならない」

 驚くことにこの元役員はこんな指摘もする。「今の日産は部品をわざと高く購入している。下請けから高い見積もり価格を出させておいて、いざコストカットしたときの値下げ幅を大きくするためです。そうやって購買部門の手柄にしている」

 果たして本当にそんなことがあるのか。別の元役員に確認すると、そうした実態を認めた。日産とホンダ両社と取引がある部品メーカー幹部も「同じような部品を日産の方が高く買っている」と証言する。

「外国人から要求されると、丸呑みしてしまう」

 さらに、その元役員はこう言い放った。

「こうした緩い仕事をして出世した代表格が購買部門出身の内田社長であり、かつ、同じく購買部門出身で内田氏の最側近と言われる経営戦略担当役員の渡部英朗氏です」

 ある日産社員も「うちの社長と、経営戦略担当役員は社内で『英語ができるバカ』と陰口をたたかれている」と明かす。