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朝日新聞社説で示された「ないものがあった」2件

 現実は反則だらけ、なのである。

 この言葉を頭に置いて、ギョッとしたことをあらためて振り返ろう。

 先月24日の朝日新聞の社説は「森友文書公開 国民あざむいた罪深さ」と「イラク日報 情報隠しの悪弊を断て」の二本だった。

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 それぞれ冒頭を読んでみよう。

《財務省が、森友学園との国有地の取引をめぐる交渉記録を国会に提出した。辞任した佐川宣寿・前理財局長が、昨年2月に国会で「残っていない」と答弁し、その後も「廃棄した」と繰り返してきた文書だ。》

《「ない」とされた陸上自衛隊のイラク派遣時の日報が見つかった問題で、防衛省がきのう、調査結果を国会に報告した。》

佐川宣寿・前国税庁長官 ©杉山拓也/文藝春秋

 どちらも「ない」ものが「あった」件だ。テーマを変えても同じことが書かれているのである。さらに驚いたのは毎日新聞の森友文書公開についての内幕を書いた一文だった。《防衛省のイラク日報問題に関する調査結果も23日に公表された。政府関係者は「首相官邸と自民党が調整し、財務省と同じ日にした」と明かす。》(5月24日)

稲田朋美元防衛相 ©杉山拓也/文藝春秋

 つまり「森友文書」と「日報」は計算のうえで同じ日に「見つかった」と発表したのだ。どうせ怒られるのだから一緒に発表して分散させてしまえ、と。

 ギョッとする。ゾッとする。現実は反則だらけ。先ほどのコラムの指摘のように「はめがはずれてしまった」のだ。