この季節、進級や進学を機に塾に通い始めたり、転塾を検討する人もいるかもしれない。塾でのトラブルは外部から内情が見えにくいものだが、問題視されるのが講師によるセクハラ・性的行為のトラブルだ。
福岡県生まれの岸田優香さん(仮名)は現在26歳。大学に受かって上京し、そのまま東京の企業に就職している。高校卒業までは地元の有名な塾に通っていたのだが、この塾の講師から性的な加害を受けたことがあったという。(全2回の1回目/後編に続く)
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気軽に話せて信頼できる講師だった
「私が通っていた予備校は、周囲から厳しい校風だと言われていました。ただ、私は中学生の頃から高校卒業までこの塾に通っていて、私自身の感覚ではそこまで厳しいとは思っていませんでした」(岸田優香さん、以下同)
通っていた高校受験コースは講師がマンツーマンで生徒を指導する個別指導スタイル。高校2年生の時、岸田さんを担当していたのが当時34歳の男性講師だった。
「立場的には現役生全体を見る主任のような人だったんですが、ルックスもごく普通で生徒からはタメ口で話しかけられるようなタイプでした。私も中学生の頃から教えてもらっていたので気軽に話していて、結構、わがままも聞いてくれて、私が『自習室で勉強するのって嫌いなんだよね』と愚痴をこぼしていたら、『じゃあ、空いてる教室を使っていいよ』って言ってくれたんです。
そのうちそれが普通になって、私が一人で空き教室で勉強をしていると毎日のように様子を見に来てくれて、いつもコーヒーやジュースを差し入れてくれました。コーヒーを飲みながら1時間くらいおしゃべりをすることもよくあって、私にとっては何でも話せる信頼できる先生という感じになっていました。勉強を見てくれたり進路の相談をするだけじゃなくて、当時の私は両親との関係に問題を抱えていて、できるだけ家に居たくないから塾で自習していたようなところがあったのですが、そんな悩みを話したりもしていましたからね」