『花のたましい』収録作

「花のたましい」
 大阪キタでアルバイトのホステスをしている駒子は、立ち寄ったお初天神で、幼馴染の智美と再会する。とりわけ仲が良いわけでもなかったが「片親同士」のよしみで、二人は小学生のころから不思議な因縁があった。すると智美はいきなり儲け話をもちかけてきて……。
 映画の主人公である兄妹の兄・俊樹(演・鈴木亮平)の幼馴染で、妹・フミ子(演・有村架純)にとっては姉的な存在の駒子(演・ファーストサマーウイカ)が、お好み焼き屋の看板娘になる前、20歳の頃の淡く切ない友情の物語。

「百舌鳥乃宮十六夜詣(もずのみやいざよいもうで)」
 生駒山麓に住む小学四年生の陣太郎は、友人の貞夫と山に入り道に迷ってしまう。ふと気がつくと目の前には、親たちから「決してその先に行ってはいけない」といわれているナメクジ地蔵が立っていた――。
 陣太郎は映画の主人公・俊樹が勤める山田製作所の社長(演・オール巨人)。貞夫はお好み焼き屋「みよし」の店主で駒子の父親(演・オール阪神)。

「アネキ台風」
 山田製作所に勤める塚口ハジメ(演・島村龍乃介)は、仕事のかたわらビジュアル系バンドのボーカルとして活躍する人気者。ハジメの姉の香織も、保険外交員として製作所に出入りしており、底抜けに明るいキャラで工員たちに愛されていた。絵にかいたような幸せ姉弟だったが、塚口家にはハジメだけが知らされていない、家族の秘密があった。
 家族の危機を肝っ玉アネキは救えるのか!?

ADVERTISEMENT

「初恋忌」
 癌を患った「私」は、人生の落穂ひろいのつもりで、幼少期を過ごした町・彦根を娘とともに訪れる。趣味のスケッチに勤しむ「私」の記憶は往時をめぐり、初恋の相手・繁田喜代美の面影にたどり着く。
 人生の終わりを予感した男の身に起こる、小さな奇跡。映画のシーンとシンクロした感涙必至の好篇。

映画『花まんま』情報

2025年4月25日全国公開予定
出演:鈴木亮平 有村架純
   鈴鹿央士 ファーストサマーウイカ オール阪神 オール巨人
   六角精児 キムラ緑子 酒向芳
監督:前田哲 脚本:北敬太
製作配給:東映
原作:朱川湊人『花まんま』(文春文庫)

文庫『花まんま』
花のたましい

花のたましい

朱川 湊人

文藝春秋

2025年3月24日 発売

花まんま (文春文庫 し 43-2)

花まんま (文春文庫 し 43-2)

朱川 湊人

文藝春秋

2008年4月10日 発売