昔は「背が高い=いいこと」という価値観が圧倒的に多かったが…
――一方で、社会の変化によって以前より生きやすくなったところもある?
たけべ 「身長を訊くことは失礼なこと」という意識を持つ方がここ3年ぐらいで増えた気がします。
昔は、世の中的に「背が高い=いいこと」っていう価値観が圧倒的に多かったせいか、背が低い人に「低いですね」とは言わないけど、背が高い人には平気で「高いですね」と言うし、なんなら皆さん、褒め言葉のように言ってきたのではないかと思っていて。
だからこそ、「部活は何?」「親御さんも大きいの?」「170cmある?」とかって訊かれ続けてきたわけですけど、その度に、私の心にはちっちゃい針が刺さっていたんですよね。
でも、今はその針の数が圧倒的に減ったので、過ごしやすくなったなと思います。
――背が高いという悩みを、悩みとして受け取ってもらえることが増えた?
たけべ うちの親もそうでしたけど、「気にしなくていいよ」とか「背が高いなんてカッコ良くていいじゃん」みたいに言われてしまうと、もうそこで終わりというか、自分のコンプレックスを無きものにされることがつらかったんだと、今は思います。
「目立つから待ち合わせもしやすいんですよ」高身長で良かったこと
――現在は、フリー素材の「ぱくたそ」でモデルもされています。
たけべ フリー素材は匿名性が高いものですし、「私」が必要というより、構図やテーマに沿って使ってもらうものなので、この身長ならではの面白いことができたら嬉しいし、何か役に立てたらいいなと思ってはじめました。
――改めて、高身長で良かったことは?
たけべ 今でこそ思えるんですけど、やっぱり初対面の人に覚えていただきやすいですし、目立つから待ち合わせもしやすいんですよ。就活の面接も、身長の話がアイスブレイクになりました。
あと、接客業をしていた時、お客様に気に入ってもらって、「たけべさんにお願いしたいわ」と言ってくださる方が多かったのも、この身長ゆえに覚えられやすかった、というのは絶対あると思っていて。
そんな、これまで自覚してこれなかった「背の高い私」で良かったことも、これからはもっと発見していけたらいいなと思います。
撮影=細田忠/文藝春秋
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