小泉 F-22もハワイで見ましたけど、意外と生で見ると表面荒れてますね。やっぱり戦う武器なんだなというのはよくわかりました。

米空軍が運用するF-22戦闘機 ©USAF

高橋 ロンドンのインペリアル・ウォー・ミュージアムってレストアしないで出してるんですよね。たしか零戦の三二型のコクピット周辺とかそのままで。最低限の修復だけ施して新品同様には戻さない。

小泉 要するにそういうものを保存するというコンセプトなわけですよね。

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高橋 スミソニアンはもうきれいにして、ある種倉庫の中で見ているような感じですよね。

「セラミックとかオウムの殻とかで機体を作ってるんやろうな」

太田 フィンランド中央航空博物館というどマイナーな博物館があるんですけど、そこではブリュースターB-239、フィンランドでは「ブルーステル」と呼ばれていた戦闘機で湖から引き上げたやつをそのままの形で展示してるんですよ。すごく見てみたい。もともとロシア側の領土に落ちていたんだけど、フィンランドに貸し出されてずっとそのまま置かれているらしいんですけど、やっぱりリアルですよね。湖の中にいたから案外保存状態はいいんです。

小泉 この前の話ですね(笑)。酸素の少ない泥の中に埋まっていると、ほぼ腐食しないらしいんですよ。

太田 引き上げてみたら色とかも当時のままで、マジでびっくりするんですよね。

小泉 やっぱりほら、アジアってあったかいし、最終的にどんどん土に還っちゃうじゃないですか。ヨーロッパの冷たい土の中に埋まってるものっていつまでもあのまんまっぽいですね。

高橋 それで何千年かして、発掘されて……。

小泉 「バカガラス」みたいに発掘されて(笑)。

太田 たぶん、トルメキアは金属がまだちょっと出ると思うんですよ。だからリベットでこういうふうにつなげて……。で、旧エフタル、風の谷のあたりではもう出ないから、セラミックとかオウムの殻とかで機体を作ってるんやろうな、という想像ができるところがまたうれしかったりするんですよね。そういえば、さっき『ナウシカ』の機体って、インテーク(空気取り入れ口)がないって話あったじゃないですか、でも「メーヴェ」だけあるんですよ。

小泉 あー、あるある。前んトコ開いてる。

太田 開いてるでしょう。なんでだろうと思ったんですけど、「メーヴェ」の重さって何キロか知ってます? 12キロなんですよ。

小泉 ああ、燃料積めないのか。

太田 そう。水たっぷり積めないから、あれも燃料は水だと思われるんだけど、たくさん積めないから、「メーヴェ」は反応剤としてしか使っていない。で、推進剤として空気を取り込んでいる。どこまで考えているんだ!? とか、こっちが考えすぎなだけかもしれんけど(笑)。

太田 たぶんあれ、エフタル特有の技術なんですよ。だから過去の戦争でも戦闘用「メーヴェ」みたいなのを使っている場面が出てくる。

小泉 たしかに空挺作戦に使いやすそう、“メーヴェ・ボーン”……。

高橋 (笑)。

小泉 そこはほら、一〇〇式短機関銃を持って、「メーヴェ」が次々、パレンバンに降りてくる(笑)。