大阪アジアン映画祭でワールドプレミアをした作品が世界へ広がった
リム それはすごいですね。暉峻さんのプログラムから、あまり知られていない映画を発見できるのをいつも楽しみにしています。例えば、3年前のモンゴル映画『セールス・ガールの考現学』も大阪でワールドプレミアでしたよね? その後、さまざまな映画祭で上映され、新たなモンゴル映画として高く評価されました。
暉峻 はい。大阪で上映された後、ニューヨーク・アジアン映画祭でグランプリを受賞しました。大阪アジアン映画祭が先駆けとなり、その後さまざまな海外映画祭に広がっていく流れができたのは本当に嬉しいですね。
さらに、日本での配給も決まり、モンゴル映画としては異例のヒットとなりました。これまでモンゴル映画に関心のなかった観客にも観てもらえたことが何より嬉しいです。モンゴル映画に対するイメージ自体を大きく変えることができたのも、大きな成果だと思います。
今回のオープニング作品であるカザフスタン映画も、同じようにカザフスタン映画のイメージを変えるきっかけになると期待しています。
また、『セールス・ガールの考現学』の監督による新作『サイレント・シティ・ドライバー』(24年)が、今回コンペ部門に選ばれています。前作はポップで軽快な作品でしたが、今作は全く異なり、非常にヘビーな内容になっています。それでも、ぜひ観てほしい一作です。
【サイレント・シティ・ドライバー】
霊柩車の運転手として働く男は、盲目の父親を置いて夜ごと街へと繰り出す女に出会い、犬が飼い主を求めるようにつきまとう。やがて二人の生き様が重なり衝撃の結末を迎える。『セールス・ガールの考現学』(OAFF2022)監督の新作。
リム 『セールス・ガールの考現学』にも、有名なバンドが出演していました。
暉峻 そういう意味では、今回のカザフスタン映画は少し似ていますね。有名なバンドの存在が企画を成立させた点が共通しています。今年は音楽に関連した映画が多いですね。例えば、イーキン・チェンが出演している香港映画『ラスト・ソング・フォー・ユー』(24年)もその一つです。