アジア映画の祭典「大阪アジアン映画祭」が3月14日~23日の10日間、大阪市のABCホール、テアトル梅田などで開催される。20周年を迎える今年も、香港・台湾・タイを始めとしてアジア各地から最新の注目作が集結。映画祭に縁の深いリム・カーワイ監督が、その見どころを暉峻創三(てるおか・そうぞう)プログラミング・ディレクターに聞いた。(前後編の後編/最初から読む

©大阪アジアン映画祭

 

韓国映画の次はタイ映画の時代になる?

リム 僕は毎年タイ映画を楽しみにしていますが、今年の特集もとても面白そうですね。

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暉峻 昨年もタイ映画を特集しましたが、すでにその時点で映画の傾向が大きく変わり、新しい時代に入ったと感じました。今年は内容やスケールの面でも、さらに進化しています。

 まず、GDH(タイの人気映画製作会社)の映画が3本も入っています。日本にもGDH作品のファンは多いので、たくさんの観客が来てくれると思います。それ以外で特におすすめしたいのが、『タクリー・ジェネシス』(24年)という作品です。

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【タクリー・ジェネシス】

タクリー郡の森で真夜中に催される秘密の儀式。隠れて見ていたステラは、父親が閃光に包まれ消えるのを目撃する。30年後ステラは、父親の失踪にある物体が関係することを知る。圧倒的スケールで描くタイ ムリープ・エンターテイメント。

暉峻 この映画は、これまでのタイ映画のスケールを完全に超えています。タイムトラベル要素があり、30年前の過去から現代へ移り、さらに紀元前5000年へ飛び、最後は数千年後の未来まで描かれるんです。さらに、タイの町が怪獣に破壊されるシーンや、高層ビルが崩れるスペクタクルな映像も盛り込まれています。そこにタイ独自の土着的・宗教的要素が加わることで、これまでにない壮大な作品になっています。

リム 『おばあちゃんと僕の約束』(24年)もラインナップに入っていますね。世界的に大ヒットしましたし、韓国映画の次はタイ映画の時代が来るかもしれませんね。

暉峻 その可能性は十分あります。観客の満足度も非常に高いですし、大阪アジアン映画祭でのタイ映画の人気も年々高まっています。日本の配給会社も、今年は何かしらのタイ映画を買いたいと考えているでしょうね。

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【おばあちゃんと僕の約束】

エムは遺産目的で末期患者の祖母の看病を始めるが、厳格で気難しい祖母に手を焼く。毎日一緒に暮らし、早起きし、仕事を手伝い、病院にも行く。祖母に寄り添って日々を過ごすうちにエムの気持ちは変化していくのだった(6月13日全国公開予定)。