不調だった韓国映画に久々の良作が

リム 今年のコンペには韓国映画が2本入っていますね。

暉峻 昨年までの3年間、韓国映画の長編劇映画はコンペに1本も入っていませんでした。しかし、今年はコンペを含めて4本も選ばれています。

 実は、世界的に見ても最近の韓国映画は不振気味で、他の大きな映画祭でもなかなか入選していないんです。今年は久々に良作が揃いました。

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©大阪アジアン映画祭

リム 中国映画も、昔はあまり入っていなかったのに、最近は必ず1本は入っていますね。

暉峻 今回はフオ・シン監督の『バウンド・イン・ヘブン』(24年)ですね。もともとチャウ・シンチーの映画で脚本家として活躍していた方の監督デビュー作です。また、特別注視部門に入っている『イケメン友達』(24年)はフランスとポルトガルの合作ですが、実質的には完全に中国映画ですね。この作品は昨年、台湾の金馬奨で大きな話題となり、いくつかの賞も受賞しました。今回、大阪がそれに続く2番目の上映地となります。

 

【バウンド・イン・ヘブン】

フェイ・ウォンの歌が拠り所の主人公は、コンサートチケットを婚約者に取り上げられ、呆然とひとり会場へ赴く。そして生の歌声を聞かせてやると言う奇妙な男に出会う。『カンフーハッスル』の脚本家が描く壮絶な純愛。初監督作品。

 【イケメン友達】

カミングアウトした中年のゲイ男性は、若い理髪師に振られた男と出会い関係を深めていく。その複雑な関係に、精子提供を求めるレズビアンカップルが絡んできて……。ユーモアと皮肉を交え、アイデンティティ、自由、政治を掘り下げて描く。