「本当に私のことが嫌いだったんだろうなって思います」

 グラビアアイドル、そしてアーティストとして活動するあにお天湯さん(24)。2023年8月に出版したヌード写真集『月刊 あにお天湯』(講談社)が重版を重ねるなど、今注目を集めている彼女だが、5歳の頃から義父の暴力に晒され、母親からも守ってもらえない、辛く苦しい幼少期を過ごしたという。

あにお天湯さん ©三宅史郎/文藝春秋

家を出て東京へ…始まった奇妙な共同生活

「追いかけ回されてボコボコにされたり、襟元をつかまれて宙に浮かされたり。言葉の暴力はさらにひどくて『ブス』『お前なんていらない』とかそういうレベルの言葉は毎日でした」

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 義父と母親が離婚した後も、状況は良くならなかった。あにおさんは高校を中退し、家を出て夜行バスで上京。ミスiDに出た際に知り合った女王様の誘いを受けて、マゾのおじいちゃんとの奇妙な共同生活を送ることになる。

「立場的には完全に女王様が上です。おじいちゃんはすごくわきまえている人で、女王様の出勤のスケジュールが出ると一番に予約するんですよ。一緒に住んでいるんですけど(笑)」

 あにおさん自身の立場について聞くと、「ペットの犬」のようだったという。

「愛玩動物的な感じです。女王様とは毎日一緒にお風呂に入らないと怒られたりしてました。あと『お姉様』ってずっと呼んでました」

脇毛を堂々と見せる、個性派グラビアアイドルになるまで

 そんな波乱万丈の日々を過ごす中で、いつしかあにおさんは「グラビアしたいな」と思うようになる。

「ずっと胸は大きかったので、中学生ぐらいからコンプレックスだったんですよ。でも『これだけ胸があれば、誰か一人ぐらいはグラビアさせてくれるんじゃないか』と思っていて」

 その後、自撮り写真がTwitterでバズったことをきっかけに、グラビアデビューを果たす。しかし、事務所に所属してからも、自分らしい表現ができないもどかしさを感じていたという。

「グラビアで表紙を飾る王道の子って、やっぱり学校でモテるタイプなんですよ。大きな撮影会でグラビアアイドルの子が100人くらい集まると、みんな楽屋での会話もモテ系で。逆に私は生きてきて、男の人から嫌な目に遭ったことがすごい多かったので『この人たちと全く来た星が違うんだ』と感じてました」

©三宅史郎/文藝春秋

 そんな葛藤を経て、あにおさんは事務所を退所。自分らしい表現を追求し始める。その結果生まれたのが、ピンクやグリーンに染めた脇毛を堂々と見せるグラビアだ。

「脱毛ってお金がかかるじゃないですか。でも、みんな、しなきゃいけないと思い込んでるんですよね。それっておかしいんじゃないかなって思っていて。だから脇毛を生やして『ちょっと可愛いかも』って思ってくれる子が増えたら、もう少しみんな生きるのが楽になるんじゃないかなと思ってます」

 壮絶な過去を乗り越え、自分らしい表現を追求し続けるあにおさん。彼女の挑戦は、グラビア界に新しい風を吹き込んでいる。

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