ーー冷静になると、別に迷惑をかけているとも思えないんですが。
アンヌ そうなのかもしれませんが、いまだに申し訳ないと思う気持ちは変わりません。その思いもあって、改めてテレビやラジオのお仕事をしてもいいのかな、というジレンマがありました。
ーーTBS退職後、昨年復帰するまではどのように暮らしていたんですか?
アンヌ 手術した後は、体を休ませようと思ってしばらく仕事をしていませんでした。
会社員時代、運動をしたり、食事に気をつけたりすることが一切なかったので、そこは反省して普段の生活を見直そうと思い、リハビリを兼ねてヴィーガン料理を習ったり、アロマテラピーの勉強をするようになりました。ヴィーガンはまったく向いていませんでしたが、アロマテラピーはセラピストの上級資格まで取れて、美容関連のお仕事につながっていきました。
ーーアメリカにも住んでいたそうですね。
アンヌ アロマテラピーの勉強をしている期間中、一時アメリカにいました。「アンヌ」という名前もその時から使っているんです。
アメリカのスターバックスコーヒーでは「Your name?」って聞かれるんですけど、「Haruka」は言いにくいみたいで、「そうだ。私、アンヌという名前を持っていた!」と。それからアメリカでの暮らしが途端にスムーズになって、日本に戻ったあとも、アメリカでのご縁がある方からアンヌさんアンヌさんと呼ばれるようになり、私の中でその名前がかなりしっくりくる感じがしたんです。講師の仕事を始めたときも、好きな名前で活動しようと決めていましたので「アンヌ」先生と呼ばれていました。
テレビやラジオは私にとっての天職なんだ
ーー講師のアンヌ遙香先生を、生徒さんは小林悠さんと認識していたんでしょうか。
アンヌ 元TBSアナウンサーという肩書きも使っていましたので、知っている人もいれば、全然知らない人もいましたね。
私、TBSを辞めてから大型犬のゴールデンレトリバーを飼いはじめまして、リリー(愛犬の名前)と自然の中で暮らしたいという理由もあって北海道に住んでいるんです。
毎日、お散歩しているといろんな人にご挨拶しますよね。「リリーちゃんのお母さん」と呼ばれることが本当に多いものですから、当たり前だけど、私が何者かなんて誰も気にしていません。
だから、アンヌ遙香として札幌でテレビに初めて出ることになった時は、また一からデビューするくらいの気持ちでいたんですが、小林悠と認識してくださる方がいて衝撃を受けました。「わぁ、ナタリーだ!」って声をかけていただいた時は嬉しくて。辞めてからもう8年も経っているのに、覚えていてくださる方がいるんですよ。
ーーやはりテレビのお仕事に戻りたいお気持ちは強かったですか。
アンヌ 退職してしばらくの間は、志半ばで業界を去ったこともあり、悲しさや悔しさなどの色々な気持ちで、TBSの番組を観たりラジオを聴くのが切ないという時期がありました。
現役の頃は自社の番組ばかり聴いていましたが、退職を機会にNHKや、FMのJ-WAVEなど様々なものを聴くようになり、かなり勉強になりました。私ならこう返すなとか、別所哲也さんのこの感じはまねしたいなとか、間とかが気になってしまうんです。ただのリスナーではなく、職業病というか、アナウンサーとして聴いてしまうんですね。
TBS時代の夢を見ることも結構ありました。結局、テレビやラジオが好きという気持ちはずっと変わらなかったんです。周りからの評価は別として、テレビやラジオは私にとっての天職なんだ、という感覚は持ち続けていました。
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