ーーどの職種も、10年前と今とでは労働環境、思考そのものが違いますね。

アンヌ 今となっては時効でしょうか。いちばん忙しいころ、休みは日曜日だけ。

 私の趣味は、泊まりがけで、大仏や仏像を観に行くことなんですが、たとえば『Nスタ』は番組の構成上、翌日は現場もないしと急遽休み扱いになることが稀にありました。そうなると、よっしゃー! 山形に行こうかな、富山に行こうかなと、スマホで新幹線の切符をすぐとって1人で旅行に行く、といったことをしていました。

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ーー同僚や先輩など会社の方と食事するといったこともありますよね。

アンヌ 同僚と飲みに行くこと、あんまりなかったんですよ。たまに行くともちろん楽しいんですが、でもほとんど行かなかったなぁ。ホント、とがってて……。

ーー声をかけづらい、とがりのオーラを放っていた……。

アンヌ 出ていたと思います、イヤな奴ですよねー(笑)。

 アナウンサー同士の女子会に声をかけてくださる先輩もいたんですけど、年下のくせに平気で断っていました。たまに顔は出しますけど「はい、行きます!」という前のめりな感じでは全然ない。今になると、そういうものにもっと参加していれば、私のパーソナリティも変わっていたんじゃないかと思います。なんでも否定から入っちゃダメ、イエスと言えば開ける人生もあるのにな、と。もったいなかったです。

ーーということは、接待的な会食に断れずに参加するといったようなことは……。

アンヌ なかったですね。もう、ほんとにとがってましたから(笑)。

『NEWS23』を直前で辞退、突然の退職から復帰するまで

ーー2016年に『NEWS23』のキャスター陣に加入されることが決まった直後、体調不良で辞退され、そのまま退職されました。ちなみに私はラジオの『小林悠のたまむすび』を毎週欠かさず聴いていたので、「え! あの元気なナタリーに何があったの?」と本当に驚いて、ぜひお話を伺いたかったんです。

アンヌ 実は、会社を辞めた後、大きな疾患が見つかり手術をしたんです。その疾患の影響が、不調というか、前兆として出ていたのではないかと思うんです。

 嘘だ、と言われるかもしれませんが、実はそのあたりの記憶が自分でもびっくりするほどなくて……。NEWS23はやりたい、でも厳しいかもしれません、と申し出たのはポスター撮影をする直前でした。このままだと多くのみなさんに迷惑がかかってしまう。同じ迷惑をかけるなら早いうちにと思って決断したのは覚えています。

 なんでも自分でスパッと決めてしまうところがあったんです。もっといろんな人に相談すればよかったんですけどね。本当に、全部が「とがって」いたことにつながってしまうのかもしれませんが、ああすればよかったと色々考えることが今でもあります。