「本当に動けなくなってしまった」警察に被害届を出せなかった理由

ーー警察に被害届を?

松阪 やっと気力を取り戻して動き出した矢先に、そういう被害に遭って、本当に動けなくなってしまったんです。それと2019年から2021年までの間に、加害者から悪い噂を流されたり、いろんな嫌がらせをされたことで人脈がゼロになってしまったんですね。

 そうしたなかで、話を取り付けることができたのが、その人だけだったんです。唯一の人脈まで失うのが怖くなってしまって、それで黙ってしまいました。

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ーー被害後も、その人物が近づいてきたりは。

松阪 電話が掛かってきたり、「大丈夫かい?」ってメッセージが送られてきて。SNSをフォローされたりもしました。

 私は最近になってようやく起業家の集まりに呼ばれるようになってきたのですが、行ったら、その人がいて。起業家の世界は狭いので、そういうことがあるんです。また、向こうの人脈を使って、私に圧力を掛けてくるみたいなところもあるので。

 

ーーセクハラしてきた人たちは、松阪さんの情報を共有しているとか?

松阪 2019年のスタートアップのときに私に会ってセクハラした人たちが、後々になって一緒に仕事をするようになったんですよ。いじめもそうですけど、セクハラの加害者同士も一致団結するんです。これは他の被害者の方も同じことを言っていました。

 もし、その人たちの間でセクハラ加害が常態化しているとしたら、手を組んで身を守ろうとするところがあるのかもしれないなって。

「精神的に問題を抱えている」と噂を流され…深刻な二次被害も経験

ーー力を合わせて、口封じ的なことをするのですか。

松阪 私はマーケティングの会社をやりながらスタートアップに向けて動いていたんですけど、急にクライアントと連絡がつかなくなったということがあって。たぶん、良くない噂を流されたんだろうなと。

 

ーー流されたと思う噂とは、どんなものですか。

松阪 私が失踪したとか、精神的に問題を抱えているとか、体を売っているとかそういったことを言われていたらしくて。

 また、そういった噂が二次被害にも繋がるんです。もちろん、セクハラ被害のダメージは大きくて重いんですけど、二次被害もかなり深刻なので。もちろん被害の感じ方は人それぞれなのですが、他の被害者の方と「二次被害のほうが辛く感じるときもある」といった話をすることもあります。