ご相談とは誰とのご相談なのか?

「開示請求の当事者は赤木雅子さんです。それを本人が知らないところで、国会は国権の最高機関だからといって内容を事前に漏らすというのは、情報公開法上の別の問題を招来するのではないかと思います」

 これに対し財務省の担当者は、

「国会のご要請でございまして、いかにしたらよろしいか、まさにご相談だと思うんですが」

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 ご相談とは誰とのご相談なのか?  雅子さんはまたも置いてけぼりだと感じた。

「私に相談してくださったらいいんじゃないかと思うんですね。代理人もおりますしね」

 川内議員も賛同した。

「当事者の赤木雅子さんに事前に相談して、『それならいいですよ』と了解を求めた上で国会に出すべきじゃないですか?」

「あの~、持ち帰らせていただいてよろしいでしょうか?」

「はい、ぜひ加藤大臣に、赤木さんからこういう申し出があったとお伝えください。本人の知らないところで国会に出たということがないように」

 この提案は持ち帰って検討した上で、週明け早々に返答することになった。

肌身離さず身に付けていた国家公務員倫理カード

 ここで雅子さんは最初から気になっていたことを尋ねた。応対している財務省の担当者はどういう役職のどういう名前の方なのか? すると2人は名刺を差し出した。一人は理財局国有財産審理室長。もう一人は別の部署の課長補佐で、現在開示に向けて応援に入っているということだった。2人の名刺を手にして雅子さんは感慨深げに話した。

「ありがとうございます。私は財務省の方から名刺を頂いたのは初めてです」

 裁判を起こしてから、財務省や近畿財務局と何度も交渉を重ねてきたが、毎回「たまたま切らしておりまして」と言われ名刺をもらえなかったという。雅子さんはさらに尋ねた。

初めて受け取った財務省職員の名刺

「お二人は今、国家公務員倫理カードはお持ちですか?」

 すべての国家公務員に配られる、職務に当たっての心がけを記したカード。その最初には「国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか?」と記してある。亡き夫・俊夫さんはこのカードを予定帳にはさんで肌身離さず身に付けていた。一方、この日の担当者は次のように答えた。

「机の中に、引き出しを開けるとすぐに入っているんですが……」