新幹線の駅舎から在来線とは反対側の南口を出ると……

新幹線駅はおしゃれな時計台がトレードマークだ

 安城市内にはほかにもいくつかの駅があり、旧東海道沿いの名鉄南安城駅や新安城駅が古くからの市街地だ。次いで東海道線の安城駅が近代都市としての安城市の中心になった。

 そして1988年に新幹線の三河安城駅が誕生し、新たな拠点になりつつあるということだろう。そういう物語を知れば、「定時通過の車内放送でよく聞くナゾの通過駅」扱いがなんだか申し訳なくなってくる。

 新幹線の駅舎から在来線とは反対側の南口を出ると、こちらにも立派なロータリーがあって、その先には東横インやドーミーインなどのビジネスホテルチェーンも。

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南口の駅前には東横インやドーミーインなどのビジネスホテルが

 現在の安城市は近隣の刈谷市・知立市・岡崎市などとともに自動車関連の工場が多く立地している工業都市だから、その新幹線駅の前にビジネスホテルがあるのもとうぜんのこと……。

 と、フォローのように述べてみたが、在来線も快速・新快速・特別快速のどれも通過する各駅停車の駅である。ちなみに、名古屋駅までは在来線の各駅停車だと約1時間。それが新幹線だと10分で着いてしまう。やっぱり新幹線はさすが、なのである(写真=鼠入昌史)。

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