『拝啓、本が売れません』が話題の“ゆとり世代の新人作家”額賀澪さん。体当たりの取材で本をとりまく現実を思い知った彼女に聞く「本が売れない理由」と「本を売るための方法」とは――。
――今年3月に刊行された著書『拝啓、本が売れません』は、「ゆとり世代の新人作家」が売れる本を作る方法を探し求めて、編集者や書店員のみならず、Webコンサルタントや映像プロデューサーなど幅広い業種の人物に体当たりで取材したルポで、話題となりましたね。書くきっかけは何だったんですか?
額賀 『屋上のウインドノーツ』(文春文庫)の解説を書いてくださったオザワ部長の『吹部ノート』(ベストセラーズ)の担当編集者からお話をいただきました。最初は『重版出来!』の小説家バージョンみたいなものを考えていましたが、打ち合わせのなかで「本って何で売れないんだろう」という話が出てきて、このような内容になりました。
――反響は結構ありました?
額賀 まず出版業界内からありました。他の作家さんが『拝啓、本が売れません』を読んでいるのは意外でした。SNSでしか知り合ってない作家さんも読んでくださっているし、面識のある人も読んでくださって。くまざわ書店のサイン会イベントのときも「読んだよ」って言ってくださったり、なかには「ずっとTwitterがあればいいやと思っていたけれど、『拝啓、本が売れません』を読んで、それじゃダメだと思ってホームページ作った」という方もいらっしゃいました。
読者の方からは「本が売れない本の人ですよね?」(笑)
――5月19日にくまざわ書店南千住店で開催された「作家31人合同サイン会まつり」ですね。秋山香乃さん、天祢涼さん、伊東潤さん、碧野圭さん、坂井希久子さん、佐藤青南さん、似鳥鶏さんなど作家の顔ぶれも幅広かったけど、何よりすごいお客さんの数で、お店の中に入るのも一苦労、レジに並ぶのも一苦労。人が多すぎて殺気だっていましたね(笑)。事前販売も含め823冊が売れたと聞いて、「本、売れるじゃん」と思いました。額賀さんもサインするのに忙しそうでしたね。
額賀 読者の方から、「本が売れない本の人ですよね?」と言われました(笑)。この本で初めて私の作品を読んだ方も多かったみたいです。もともと他の作家さんのファンで、たまたま本屋に行ったらこんなタイトルの本(『拝啓、本が売れません』)があって手にとった、という人も多かったみたいです。