今回は、「歩行を維持することが、人生の幸せを決める」と説く久道勝也医師に女史会世代の「足の健康」のお話を伺いました。久道先生は日本初の足病医療の総合病院「下北沢病院」の理事長。病院では、足の筋肉、骨血流、皮膚、爪、歩行機能、適正な靴の選択など足の健康の全てを調べる足ドック「足の見えるか検診」を行っています。『週刊文春WOMAN2025春号』より、一部を編集の上ご紹介します。
「死ぬまで歩きたい!」
久道 当たり前ですが、誰もが元気なまま人生を終えたいと思っていますよね。
渡辺 はい。先生の著書のタイトル通り、「死ぬまで歩きたい!」と常々(笑)。
野宮 歩き続けたいね。
松本 で、そのままコロリ。
久道 ピンピンコロリですね。略してPPK(笑)。
女史会 PPK!
久道 ずっと平坦な道を進み続け最後にプツッと道が終わる、そんなイメージだと思います。でも、PPKが実現する確率は非常に低いんです。残念ながら。
女史会 奇跡か~(笑)。
久道 人生には必ず「最後の下り階段」があります。最初に歩行が困難になり、次に排泄が困難になり、やがて食べられなくなり、死を迎える。それは誰もが避けて通れない下り階段。私たちはその現実を直視しなければなりません。ただ、最初の一段目を下りる時期を遅らせ、みなさんが望むPPKに近い状態へ持っていくことは可能なんです。
歩くスピードが速い人は〇〇!?
渡辺 え、どうすれば?
野宮 がんばって……。
松本 歩く?
久道 そうです。近年、さまざまな研究から、歩くスピードが速い人は、健康寿命、平均寿命ともに長くなることがわかりました。これはイギリスで行われた、歩行と寿命の関係について47万5000人を10年間にわたって追跡するというスタディで、結果、どれだけ体重があっても痩せていても、どれだけ筋力があってもなくても、早歩きの人たちが圧倒的に長寿であるとわかったんです。
女性の平均は86・7~87・8歳、男性は85・2~86・8歳。衝撃だったのは、歩行速度が遅い人の寿命の短さ。女性の平均は72歳、男性は65歳でした。
女史会 えー!