地元の神戸新聞はどう報じたのか
ちなみに朝日は斎藤知事会見の舞台裏も書いていた。第三者委の報告書に知事見解を示すにあたり、県幹部らは水面下で知事と協議を続けていたという。県幹部の間では、懲戒処分の一部撤回や知事自らの報酬カットをするべきだという考えもあったと。しかし知事会見のライブ中継を見ていた県幹部らは、一様に驚いた。「事務方の想定とは全く違う内容になっていた」(ある県幹部)からだ。
県幹部の証言は他にも次々とあった。
「パワハラは認める一方で、自らの処分に触れないのはおかしい」
「これは知事の見解で、県の見解ではない」
それにしても県職員は恐怖であろう。知事は公益通報として扱わず、自身や側近幹部の判断で告発者の処分を急いだからだ。毎日新聞社説は「そうした行為が容認されるなら、トップに不祥事があっても、部下は報復を恐れて告発を控えるようになる」と指摘。読売新聞社説はさらに恐怖の予言をした。「これでは、再び同じような事態が起きても、また告発者潰しをやると言っているに等しい」。兵庫県職員はこんな状況で声を上げることができるのだろうか。
地元の神戸新聞はどうか? 第三者委員会が報告書を出した翌日に『知事は非を認めるべきだ』と書いていた(3月20日)。地元紙だけに県民目線も書く。《文書問題に端を発した混乱は1年に及ぶ。県政の停滞で影響を受けるのは県民だ。》
さてここまで新聞の論評を紹介してきたが、「オールドメディアが何を書いても意味が無い」という人もいるかもしれない。嘲笑し、全否定する人もいるだろう。しかし自分が見たくないものには向き合わない、耳を貸さないという態度は斎藤知事と合わせ鏡なのである。それは知っておいたほうがいい。
新聞読み比べとしては、とにかく朝日と産経がほぼ同じことを斎藤知事に対して言っているのが衝撃だった。これしか書きようがないからだろう。そんな状況は歴史的なヤバさだと思うのです。
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