著名医師2人からのアドバイス
3月15日の土曜の夜は、懇意にしている2人の医師との食事会だった。
一人はテレビでもお馴染み、呼吸器内科医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫医師、もう一人は昭和大学江東豊洲病院耳鼻咽喉科教授の木村百合香医師。木村医師はACジャパンの難聴啓発のコマーシャルで、聴力検査を受ける近藤真彦氏に「相変わらずお若いですね」と声をかけている医師だ。
池袋のイタリアンのお店で色々と話をしたのだが、2人とも僕の病状を心配してくれて、貴重なアドバイスをくれた。
特に今後は伊勢原までの通院が難しくなることに触れて、在宅診療へのシフトを視野に入れた展開を考えるべきであり、そのための具体的な準備に付いての意見ももらった。
在宅診療を受けるには介護保険の申請をしておく必要があるため、なるべく早くその手続きをしておくこと、小路医師とは別にもう一人、自宅のある新宿区近辺で在宅診療に応じてくれる「第二の主治医」を持ち、「ダブル主治医体制」を敷いておく必要性などを教えてもらった。
今回の原稿の序盤で触れた「小路医師への相談」のバックボーンは、この食事会で得た知識だったのだ。
この2人の医師の話を聞くまでは、
「病院の緩和ケア病棟で最期を迎えるんだろうな」
と思っていたが、その気になれば
「自宅での看取り」
もアリなのではないか……と思えてきた。
僕はおひとりさまなので、そのためには親類や友人、何より小路医師を中心とする医療スタッフの絶大なる協力を仰がねばならないのだが、住み慣れた自宅で死ねるかも……と考えると、少し先行きに希望が持てるような気がしてきた。
※長田昭二氏の本記事全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています。全文では、春に桜を見ることへの想い、2泊3日の香港旅行の顛末、徳島のラジオ番組への出演などについて語られています。
■連載「僕の前立腺がんレポート」
第1回「医療ジャーナリストのがん闘病記」
第2回「がん転移を告知されて一番大変なのは『誰に伝え、誰に隠すか』だった」
第3回「抗がん剤を『休薬』したら筆者の身体に何が起きたか?」
第6回「ホルモン治療の副作用で変化した「腋毛・乳房・陰部」のリアル」
第7回「恐い。吐き気は嫌だ……いよいよ始まった抗がん剤の『想定外の驚き』」
第8回「痛くも熱くもない〈放射線治療〉のリアル」
第9回「手術、抗がん剤、放射線治療で年間医療費114万2725円! その結果、腫瘍マーカーは好転した」
第11回「抗がん剤で失っていく“顔の毛”をどう補うか」
第19回「余命宣告後に振り込まれた大金900万…生前給付金『リビングニーズ』とは何か?」
第21回「がん細胞は正月も手を緩めず、腫瘍マーカーは上昇し続けた」

