表面化したフジ取締役のパワハラ問題

 テレビ朝日元法務部長の西脇亨輔弁護士が次のように指摘する。

「トラブルを生んだ事案に会社の経費が使われていれば、当然その部分は会社の業務ということになる。フジ社内でこの事案の費用の領収書が出されて『接待交際費』などの名目で処理されているなら、税務署にもそのように税務申告されているはずです。仮に会社の業務とは関係ない私的な支出なら、経費処理して申告すると脱税になってしまいます」

 さらに、西脇弁護士はフジ側の安全配慮義務についても言及する。

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「ホテル代や飲食代を会社側が経費として払った『業務の場』であれば、これに参加した女性がハラスメント被害などを受けた場合、会社側は職場の安全を守れなかったという安全配慮義務違反に問われる可能性がある。この点も今回の第三者委員会の調査対象になると思います」

 現在、第三者委は中居とX子さんの事件の他、類似事案を調査しているが、一部社員は「過去のパワハラ事案も徹底的に調べるべきだ」と声を上げている。

「真っ先に俎上に載せられるのは、フジ取締役で『BSフジLIVE プライムニュース』のメインキャスターを務める反町理氏でしょう」(別のフジ幹部)

「フジ政治報道の顔」の反町氏

「マグロを食べに行こう」ドライブデートに誘い…

 反町氏を巡ってパワハラ問題が表面化したのは、18年のことだ。

「政治部で官邸キャップを務めた反町氏は、当時30代の後輩女性記者に対し、『マグロを食べに行こう』とドライブデートに誘ったといいます。その日、反町氏は彼女を口説こうとし、拒絶されると、その直後から取材メモの共有をストップした。当時、このことを重く見たフジは、社内調査を実施。文春が報じた後、反町氏は社内会議で謝罪しました」(同前)

 ところが、「政治好き」で知られる“フジの天皇”日枝久取締役相談役のお眼鏡に適った反町氏はその後も順調に出世を重ねる。20年6月の人事で執行役員に就任し、さらに翌年7月には取締役に抜擢。反町氏は現在も「政治報道の顔」であり続けている。

 日枝氏の盟友であるフジ監査役の(おの)()()(よし)氏が、フジの今後について語る。

――第三者委の進捗は?

「だから、待っているしかないわけです。それが出るっていうことを前提に立ち直りの体制を作るしかない」