2人の電撃婚は話題になったが、南は女優業を休むことなく2年後の33歳で林真理子原作の話題作を映画化した『不機嫌な果実』(97年)でオールヌードと大胆な濡れ場を披露する。

 今度の南の役は不倫に溺れる平凡な人妻役。画面の前で惜しげもなく全裸をさらけ出し、文字どおり体当たりの濡れ場を披露した。

 根津甚八演じる元彼とのラブシーンでは、久々の行為に南の体が徐々に反応を見せ始め、官能の声を漏らして全身がじわりと汗ばんでいく。ゆっくり時間をかけて南の肉体をなめまわすような迫真のカメラワークだ。

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「夫以外とのセックスはどうしてこんなに楽しいのだろうか」というコピーも話題になった映画「不機嫌な果実」

 圧巻は鈴木一真演じる不倫相手のピアニストとの絡みで、ここでも南の肉体の変化を的確に追った映像に圧倒される。南の体を優しく愛撫しながら、胸の中心から徐々に舌を這わせ、周囲に唾液の音が響く。全身がビクッとはねる様はもはや演技とは思えない。南の全身に鳥肌が立つ様をしっかりと映しだし、誰の目にも本番としか映らなかった。

 このシーンでは大音量のクラシック音楽がかかり、なんとも芸術的且つエロティシズムあふれる屈指の名ラブシーンとなっていた。

 辻との間には1児が生まれ、ほどなく辻が芥川賞を受賞。順風満帆に見えたが、家族での渡米後に夫婦の間にすれ違いが生じ、「子どもに仲の悪い両親を見せたくない」と南の側が離婚を決意。36歳の時に5年間の結婚生活に終止符を打った。

「略奪婚」と騒がれた渡辺謙との結婚だったが闘病中に不倫が発覚…

 離婚後も映画やドラマの出演は途切れず、5年後の2005年には41歳で2度目の結婚を発表。相手の渡辺謙は交際当初は一般女性と結婚しており、長男の大(だい)や長女の杏らが芸能界入りしてブレイク中の時期だっただけに、マスコミでは「略奪婚」と騒がれた。

 渡辺との関係は良好で、51歳の時にはアメリカにも進出し、映画『MASTERLESS』『MISS OSAKA』などに出演している。

元夫は渡辺謙 ©時事通信社

 しかし52歳の時、南を病魔が襲った。乳がんが発覚し、手術を受け再発防止のための抗がん剤と放射線治療を決意するも副作用に苦しみ、医師と相談して治療法を転換し、食事療法などで病気を乗り越えた。

 その南に追い打ちをかけたのが夫・渡辺の不倫報道だった。相手は大阪・北新地の元ナンバーワンホステスで、渡辺との出会いは2013年というから南が49歳前後のことだ。ふたりは渡辺の軽井沢の別荘で同棲状態にあったともいわれ、南の闘病中にも逢瀬を重ねていたという。