池上彰さんの新連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!
【首脳会談・しゅのうかいだん】
自分が偉大であると後で宣伝するための会合。
【池上さんの解説】
「YOUは何しにシンガポールへ?」と突っ込みたくなるような6月12日の米朝首脳会談での合意文書の中身のなさ。それでもドナルド・トランプ大統領は、「歴代の大統領がなし遂げられなかったことをオレは実現した」と宣伝。「素晴らしい」を連発し、勢い余って金正恩委員長のことまで「素晴らしい人物」と持ち上げたために、アメリカのメディアから「国民を強制収容所に入れ、兄を殺す人物なのにか」と突っ込まれてしまった。
自分を偉大に見せるためには、会談の相手が大物であることを示さないと、自分の価値が下がるような気になるのだろう。その結果が、金正恩を持ち上げることになった。
事情は金正恩も同じ。北朝鮮の「労働新聞」は、トランプ大統領と会談する金委員長のカラー写真を多数掲載して、金委員長の偉大さをアピールした。
首脳会談の後に自分の偉大さをアピールしたくなるのは安倍晋三首相も同じ。トランプ大統領が世界の首脳たちから軽蔑されているのを知ってか知らずか(知らないフリをしているのか)、仲の良さをアピール。何度も一緒にゴルフをして、「日米関係は強固だ」と自慢する。
「自分は大統領と1対1で会えるような人物なのだ」というのは、一般の人でも自慢したくなることではあるが、一国の首相は、そこにとどまっていてはいけない。
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