成田 通じなかったというより、自分にはそういう男っぽい部分があると思います。
上野 ご自覚があるなら何よりです。自覚なしにやってもらうと困るのでね。例えば、あなたはこの展覧会について〈こわくない〉と書かれてますが、これは典型的な男のクリシェ(決まり文句)です。自分が「こわい」「こわくない」を判定するマジョリティの立場にあることを無邪気に表明されている。
「性差別を再生産していただくのは困ります」
成田 分類判定というより感覚表明しているだけですが。ただ、クリシェであることは構わないんじゃないでしょうか。正論なクリシェや正直なクリシェもあるので。
上野 クリシェで性差別を再生産していただくのは困りますので。しかもあなたのような若い方が。
それまで私はあなたを全く存じ上げませんでしたが、そういうご縁ができた。そのご縁で今回、呼んでくださったわけですか。
成田 はい。そういう接点に興味がある人間なんです。
上野 私も好奇心が大変強い人間ですから、お招きいただいたので、のこのこ出てまいりました。
成田 ありがとうございます。
上野 あなたの「高齢者は集団自決せよ」というご発言が伝わってきたとき、とんでもないことだと怒りを覚えました。あの発言については今でも後悔されていませんか? 「集団自決」という言葉を聞いたとき沖縄の人々がどんな気持ちになるかを想像できないのは単なる無知というものです。
成田 「集団自決」という単語が招く連想については注意すべきだったですし、その後は使っていません。ただ、前後を含めた発言全体の趣旨は反省も取り消しもしてません。今も同じことを思っています。
上野 本意ではなかったということですか? では、ここで趣旨を説明してください。
(構成 伊藤秀倫)
※この対談の続きは、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(上野千鶴子×成田悠輔「あなたは世代間対立をあおっています」)。

■連載「成田悠輔の聞かれちゃいけない話」
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第2回 隈研吾「大きな新築は宿命的に炎上するんじゃないかな」
第3回 上野千鶴子「あなたは世代間対立をあおっています」<<この記事
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