日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

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地銀再編の台風の目

 地銀再編が再び動き出す気配だ。第四北越フィナンシャルグループ(FG、殖栗道郎社長)と群馬銀行(深井彰彦頭取)が3月17日、「経営統合を含めた経営戦略について検討を行っている」と発表した。

「両行は2021年に連携協定を結び、23年1月からATM手数料の一部相互無料化に踏み切るなど親密な関係だ」(地銀幹部)

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第四北越FGの殖栗道郎社長(左)と群馬銀行の深井彰彦頭取。両行は2021年に連携協定を結んでおり、これまでに親密な関係を築いてきた ©時事通信社

 仮に経営統合が実現すれば、ふくおかFG(五島久社長)、コンコルディアFG(片岡達也社長)に続く、めぶきFG(秋野哲也社長)や千葉銀行(米本努頭取)と同規模の地銀グループの誕生となる。

 背景には「県を跨ぐ越境地銀再編を促そうとする金融庁の圧力がある」と前出の地銀幹部は語る。

 1月中旬のことだ。金融庁幹部は地銀トップらを前に、人口の減少は著しく、地銀経営に無視できない影響を与えると指摘。その上で、「持続可能なビジネスモデルは一律ではないが、その確保に向けて、各地域銀行において、どのような認識を持ち、どのような戦略や対応を考えているのか、個別に対話を実施していきたい」と述べたという。

 金融庁幹部の念頭には、経営陣との存続可能性を巡る「対話」を通じて再編を促したいとの思惑がある。別の地銀幹部が説明する。

「金融庁は7年前の森信親長官時代、地銀の存続可能性を分類したマトリックス表を作成。存続困難な地銀を選び、強烈な再編圧力を掛けた。今回の対話はその第2弾と言える。人口減少が顕著な地域の地銀が優先的な対象となっている」

 すでにヒアリングを受けた地銀もある。そこでは地域経済が縮小した際の経営シナリオが金融庁により精査されており、県を跨ぐ越境再編が有力な選択肢として明示されたという。《この続きでは、さらなる地銀再編の予兆について地銀幹部が語っています》

※本記事の全文(約4900字)は月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年5月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。

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