林田 もちろんです。自分がその通りの道のりを歩んできたので、「あきらめないで」と伝えたいですね。素晴らしい先生方と自分の名前が「モーニング」の目次に並んでいるのを見て、毎週ニヤニヤしています(笑)。

初の連載作『アパレルドッグ』誕生のヒミツ

――林田さんは、昨年1月に『ファッションのお仕事』で「第84回ちばてつや賞」一般部門準大賞を受賞し、その作品をリメイクした『アパレルドッグ』を同年7月より「モーニング」で連載開始しました。ただ、以前は推し活をテーマにした漫画なども発表していましたよね。馴染みの深いアパレル業界を舞台に作品を描こうと決めたきっかけは?

林田 それは完全に編集さんのおかげです。「いつアパレルで描きますか?」くらいの感じで接してくださいました(笑)。

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舞台はアパレル業界――そこで働く若者たちの努力と葛藤を描いた漫画『アパレルドッグ』 ©林田もずる/講談社

――ということは、林田さん自身はあまり積極的にアパレル業界をテーマにしたいわけではなかった?

林田 当時まだ仕事を続けていたので、あまり暴露みたいな見え方になっても……という心配はありましたし、不思議と発想になかったんですよね。編集さんに「描きませんか?」と勧められて、「たしかに描ける」と目からウロコでした。そうやって提案していただいたら、すぐにアイデアが湧いてきて、「この経験は自分の宝だったんだ」と気づきました。

――どっぷり内側にいると、自分にとっては全部当たり前のことなので、「ネタになる」的な発想になりにくいのかもしれませんね。アパレルの仕事を辞めて、専業漫画家になったのはいつ頃ですか?

林田 昨年2月、連載が決まったときです。周囲には心配されましたが、さすがに兼業のまま週刊連載をするのは無理だろうと……。今でもアパレルの世界が大好きなので、未練が全くないわけではありませんが、漫画を描きたい気持ちが上回りました。われながら無鉄砲だと思いますけどね(笑)。

――いきなり週刊連載とはハードに感じますが、実際どうですか?