「漫画を描くことがすっごく楽しいんですよ……!」

林田 キツいとは聞いていましたし、実際大変ではありますが、今のところ大丈夫そうです。アパレル業界で働いていたとき、ブラックに近い環境に身を置いていたこともあるので(笑)。ただ、それ以上にもうヤバいんですよ……漫画を描くことがすっごく楽しいんですよ……! 洋服を作っているときと同じアドレナリンが出まくっています!

――なんと頼もしい! アパレル時代の同僚の方々も『アパレルドッグ』を読んでいるのでしょうか?

林田 はい。「このキャラってあの人がモデル?」ということをよく聞かれます(笑)。スバルちゃんははっきりとしたモデルが存在するんですが、主人公のソラトは、私が業界で会ってきたマーチャンダイザーの方々全員と自分自身もちょっと混ざっています。今まで出会った一人ひとりを糧にして、「いただきます」と手を合わせるような気持ちで描かせていただいています。

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 担当編集のお二人がすごくアイデアを引き出してくれて、アシスタントさんにも助けられていて、私ひとりじゃ漫画は描けないなと感謝しっぱなしですね。

主人公のソラトを取り巻く個性豊かなキャラクターたちも魅力。画像は三国志オタクの上司・河原部長 ©林田もずる/講談社

――最後に、漫画家としての目標を教えてください。

林田 一番大きな目標としては、死ぬまで描き続けたい。そのためにも連載デビュー作である『アパレルドッグ』を成功させないといけません。私が30年近く働いたアパレル業界は、辛いこともありましたが、すごく楽しい場所でした。今まで育ててくださった業界への恩返しのつもりで『アパレルドッグ』を描いているので、この作品をきっかけにアパレルが盛り上がって、みんなが少しずつ服を好きになってくれたらうれしいですね。

次の記事に続く 「売れないと死亡ですから」元大手アパレル社員だった漫画家(54)が語る「アパレル業界で食っていくことの苦労」