なぜ「釣りバカ」に出演し続けたのか?
では、なぜこのシリーズを続けてきたのか。その理由として三國は、まず「社会からの共感」を挙げる。
「僕は、鈴木建設を現代の縮図のように捉えてきました。『釣りバカ日誌』の背景には、さまざまな社会問題、痛みがあります。それが、世間に受け入れられた要因ではないかと思うんです。
単に、笑わしてやろうでは喜劇にはなりません。しっかりとした視点、根っこがないと喜劇は成り立たない。
そういう意味では、チャップリンと同じような自覚というんでしょうか、社会に針を刺すような姿勢を、常に持っていなければと思っています」
そのために、三國は「新作に入るとき、自分の思うところを先に聞いていただく」ことも辞さない。
映画関係者によれば、それは穏やかだが、火のように熱く、迫力のある「意見」だ。
さらに、彼は一切の妥協を許さない。他者にではなく、己に、である。
「僕は、常にわからないものを探しています。映画は何回やっても、『違う』という思いの繰り返しです。
撮り終えたシーンを翌日、撮り直してもらうこともあります。そうすると、苦虫を潰すような顔をされる方もいますが、苦虫は何べんだって潰すべきなんです。
フィルムは無駄にしたほうが、勝ちだと思います。反感を買うこともありますが、人のために仕事をしようとは思わないです、僕。絶対に、思いません。
自分が納得できる芝居がしたい。そういう思いを理解してくれた監督は、これまでで5、6人しかいなかったですね」
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