日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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流通業の新旧交代
長らく漂流を続けてきた大手スーパーの西友(大久保恒夫社長)が、九州発祥のトライアルホールディングス(永田洋幸社長)に買収されることが決まった。
かつて西友は西武百貨店とともに、堤清二氏が率いたセゾングループの中核を担った存在だった。だがセゾン流の幹部を競わせる積極経営がバブル崩壊後に裏目に出た。不動産ビジネスへの深入りが祟り、巨額の不良資産や銀行債務を負ったのだ。西友はGMS(総合スーパー)業態を柱としていたが、子会社の東京シティファイナンスの不良債権に苦しむこととなった。
グループは解体、西友は住友商事(上野真吾社長CEO)との資本提携を経て米ウォルマート傘下に入った。GMSを捨て食品スーパーへの転換を進めたが、品質と価格のバランスに敏感な日本の消費者にウォルマート流は合わず低迷。大株主が米KKRとなり、ネット通販強化で楽天(三木谷浩史社長)と提携するも、縮小均衡路線から脱することはできなかった。2023年12月期の売上高6600億円は、往時に比べ半分以下の水準だ。
他方、トライアルは流通業界随一の注目株だ。発祥は福岡市内の家電などのリサイクル店。現会長の永田久男氏が小売店向けPOSシステムの開発などに方向転換し、90年代後半以降は郊外型スーパーセンターを核に、再び小売業に回帰した異色の歴史を持つ。約4000㎡の売り場に生鮮食料品から日用品、衣料品、インテリアまで6万〜7万アイテムが並ぶ。ただ、九州に全店舗の約4割があり、首都圏は手薄だったため、都内に約70店舗を持つ西友買収で補完した形だ。
※本記事の全文(約4900字)は月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年5月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。

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