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残された遺族たちの苦しみ
しかし、本事件で最も苦しめられたのは犠牲者の遺族である。フレッド&ジェニファー・グッテンバーグは14歳の娘ジェイミーをある日突然奪われた夫婦である。夫のフレッドはトランプ大統領が銃が事件の最重要問題だと言わなかったことを批判し、残りの人生を銃の安全のために戦うことに捧げると宣言。
また、妻のジェニファーは事件から3年後の2021年4月、メディアの取材に次のように答えている。
「愛する者をあれほど暴力的に奪われる。その苦しみの現実は過酷です。眠れず、事件当日の一部始終がたびたびよみがえる。事件後の数週間、数ヶ月間、数年間の出来事も。トラウマを受けた脳は決して回復しない可能性がある。自分自身を守ろうと脳は激しく活動するけれど、それでもこぼれ落ちてしまうものがある。今の私は未来に向けて生きるのでなく、その日その日を生きている。1日を終えるだけでも十分に大変です。未来があるかはわからない」
この底しれぬ喪失感は映画に登場する犠牲者遺族の夫婦の心情をそのまま表している。
14歳の娘ジーナを亡くした父親トニー・モンタルトは犯人クルーズの裁判を傍聴した際の心境を次のように語る。