こたつが「凶器」に変わるとき
一体なぜ、「こたつでの寝落ち」が死につながるのでしょうか。
まず、こたつに長時間入っていると、発汗と呼吸によって脱水状態になりやすくなります。この脱水状態が続くと、血液がドロドロになってしまうのです。前述してきたように、高齢者には動脈硬化症が進行している人が多いため、ドロドロになった血液は血流を悪くしたり、血管を詰まらせたりします。
そして、脳の血流が悪くなると「脳梗塞」に、心臓の血流が悪くなると「心筋梗塞」になってしまうわけです。
また、室温が低いことも死の危険性を高める一因と考えられます。
下半身はこたつで温まって血管が拡張しているのに、頭や上半身は冷えて血管が縮こまっている……。いわゆる「ヒートショック」の状態になるのです。こたつの中と外の温度差が激しければ激しいほど、死ぬ危険性は高まります。
さらに、血流が悪くなる以外にも、冒頭でお話ししたように、こたつに長時間入ることで「風邪をひく」「やけどする」ことも、重症化すれば死につながります。
ひとたび脱水症状になると、粘膜などの水分も少なくなるため免疫力が低下し、風邪をひきやすくなります。また、こたつによるやけどは、自覚症状の乏しい「低温やけど」であるため、気づいたときには深い傷を負っている可能性があるのです。
いずれにしても、こたつによって身体に支障が出るときは「重症化するまで自覚症状がない」ことが特徴です。
間違った使い方をしてしまうと、身体にさまざまな悪影響を与えることを知っていただき、ぜひ安全に利用してください。
・こまめに水分を摂る。
・こたつの設定温度を下げる。
・部屋自体も暖めて温度差をなくす。
