U字工事のキャリアアップ術「揃いのスーツで舞台に立つ理由」

U字工事、歌とアマゾンに専念か！？

高田文夫　（ぶらりと入室）よ！　やってるね。歌手デビュー独占告白。

U字工事　あ、先生（席を立って迎える）。

高田　福田君、アマゾンに愛人がいるってバレちゃったんだろ（笑）。怪しいだろ、何度もアマゾンに行くなんてさ。チクっちゃったよ、炎上商法狙いで。気に入った娘が現地にいるって。

福田　愛人って、そもそもないですから！

益子　動揺の仕方が怪しいな、お前ェ。馴染みの女の子がいたのかよ。

福田　簡単に行ける場所じゃないだろ！　馴染みって近所のスナックじゃねえんだしよ！

高田　ホントの話、番組30年記念で歌わせるにあたって、100人に上るオーディションを勝ち抜いたんだよ。

――さっき、二人は正月に高田さんに一本釣りされたって言ってましたよ。

高田　なんだもうバラしたのかよ（笑）。

益子　すんません！　正直な性分で。

高田　一本釣りはホントですよ。益子君は歌の審査番組でいいとこまで行った実績はあるしさ。問題は福田君だけどね。

福田　歌はダメだから、コーラスとバイオリンで参加しました。

高田　福田君はストラディバリウスを使えるほど超絶だからね、期待だよ。

福田　ハードルあがっちゃう……。

高田　生で聴くのが楽しみだよ。日本で有数のコーチがついてるんだろ？

益子　そう、凄い人達を教えてるって先生。

福田　いやあー、時給幾らっていう人じゃなかったんですか？

高田　バカ！　バイトの女の子じゃないんだから。もう、そういうコトを言うんじゃないよ！

――だけど、この「ビギン・ザ・ギンザ」洒落てますよね。益子さん、歌声も雰囲気もハマってるし。

高田　これぞ人選の妙ですよ。この曲を考えたキッカケは、私がジャズのスタンダード「ビギン・ザ・ビギン」が好きで、我が青春の街は銀座だった。日本の娯楽の中心が銀座だった時代に遊んでたからね。元祖みゆき族だよ、「平凡パンチ」に写真載ったりしてさ。

益子　先生、シティボーイだったんだ。

高田　そうだよ。ザギンで遊んでたんだよ。ま、東京オリンピックも始まるし、街の風情を懐かしいムード歌謡に乗せて残したかった。それをU字工事に託したんだ。よろしく頼むよ！

U字工事　ありがとうございます！

高田　で、B面の「東京右側ドゥワップ小僧」は小林旭が歌ってたみたいな「自動車ショー歌」や「恋の山手線」のノリで東京の町の名前をズラッと歌うってのね。これもイイよ。

――アマゾンから帰国したその日にレコーディングの練習だったってホントですか。

高田　そうだよ、あれから毎日、血の出るような猛特訓さ。

益子　高音の出し方がわかんないって作曲の佐瀬寿一先生に訊いたら、「タブレット純に聞いとけ」って簡単に言われましたけど（笑）。連絡先も知らないし、やっと探して教えてもらって。

福田　ライブハウスの楽屋でタブレットさんに電話して教えてもらってましたから。

高田　もー、そういう秘密は言うんじゃないよ！

益子　でも、「およげたいやきくん！」「暑中お見舞い申し上げます」の佐瀬先生に曲を頂いて、ホント感激なんですよ。

高田　とにかく歌はフランク永井と石原裕次郎でいってもらうってことですよ。これからのU字工事はアマゾンと歌謡曲の二刀流でね！　そういう宣言をここでやるんだろ？

――漫才から歌へ、人生の大転換ですね。

福田　え！　漫才はどこ行っちゃったんですか！

高田　もう漫才は忘れろ。

益子　福田、それしかないべや。曲もらった時からピシッと来たんだよ。「ラブユー東京」とかの感じでね。

福田　おいおい。

益子　福田さ、俺、笑いも好きだったけど、歌もずっと演りたかったんだ！　今の俺らのファン、40代から80代まで取り込めるし。歌とアマゾンで腰据えようや！

福田　って、取り込むファン層幅広すぎねえか？　40年あるよ！　先生、漫才も入れて三刀流でいかせてくださいよ。

高田　ダメ！　君も肚をくくって、歌とアマゾンの愛人を大事にしな（笑）。

――というわけで、めでたく「ビギン・ザ・ギンザ」がチャートインすればU字工事が歌とアマゾンに専念するということで、宜しいでしょうか？

福田　最近流行りの独立解散劇かよ、勘弁してくれよ！　誰がなんと言おうと、僕は三刀流で行きますから！

益子　よし、福田頑張ろうぜ。目指せレコ大、歌うぞ紅白！

前編　U字工事の原点「高3のオーディション番組で、わけもわからず喋る栃木弁がウケた」
http://bunshun.jp/articles/-/7840

写真＝榎本麻美／文藝春秋