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スーツ姿のU字工事ができるまで

――いまの衣装、スーツなんだけど、オーダーメイドなんでしょう?

益子 最初、「オンエアバトル」の頃はTシャツに短パン、鉢巻姿だった。一応、田舎の少年のイメージだったんです。

――それじゃクールポコ。ですね(笑)。

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益子 かぶってますね(笑)。で、さすがに40代過ぎたら出来ねえなって考えるようになって。

福田 ちょうど、漫才がウケてきて演芸場の仕事も増えてね。国立演芸場という檜舞台に呼ばれたんです。これはちゃんとした衣装がいるなって思って。以前同じ事務所だったモト冬樹さんに相談したら「これで衣装を作りなさい」と10万円頂いたんです。

 

益子 ありがてえよな。その衣装がスタートで今はこの格好で覚えてもらってる。

――ピシッと決まってますよ。U字工事といえばスーツ。だからこそのムード歌謡。

福田 当時はまだ同じ世代で揃いのスーツっていなかったんでインパクトもあったね。

益子 俺らは演芸好きだから、着るのに違和感はなかったよな。どっちかというとボキャブラ世代以降はジーンズにTシャツってカジュアルでキメてたもんね。渋谷のライブハウスに出たら笑われましたけどね。

――インパクトがありすぎた。

福田 浅草か、お前らってね(笑)。

益子 まさにそうなんですけど(笑)。

福田 でも、僕は揃いのスーツがカッコいいって思ってたからショック受けてましたよ。

益子 スーツ着て舞台に立つのは、ナイツくらいだったからね。でも、俺らのカラーは青がいいって2人で決めたじゃねえの。俺はジャケット着ると堅く見えるからって指摘されて脱いだんですよ。

――それでシャツなんですね。じゃ、ジャケットは拵えないで済むわけか。

益子 いや、毎回迷いに迷った挙げ句に作ってもらってます。家に着ないジャケットがズラッとありますねえ。

福田 最初は褒められたことが少なかったんですが、ただ1人、太田プロの荻野良乙マネージャーから「君らイイね! 素晴らしいじゃないの」って言ってもらえました。

――昔気質で知られる片岡鶴太郎さんの弟さんですね。でもスーツで舞台に立つってナリがこんなに似合う若手漫才師も珍しいですよ。 

 

益子 あ、そう言えばテレビに出る前から亡くなった古今亭志ん馬師匠から、ご自分の独演会に出てよってお誘いを受けたんです。

――ほう、7代目の志ん馬さんから。

益子 テレビの5分じゃなくて、20分演っていいよって。俺らは落語の会に、そんな長いネタは無理じゃないかって尻込みしてたんですけど。

福田 とにかくトライしてみるべって出てみると、落語会のお客さんが笑って下さったんですよ。僕ら寄席にしても違和感なく出ていけたんですよね。

ついに漫才協会真打ちに

――去年の9月に漫才協会の真打ちになられて。過去形ですが、おめでとうございました! 落語の真打は馴染みがありますけど、漫才の場合はどういうもんなんです?

益子 2011年に協会に入って、寄席に立つようになりまして。(小声で)どうも、真打ちの特典はトリを取れるらしいんですよ。

福田 悪い事言ってるんじゃないから、声潜めんな!

――真打ちにはファンであるのいる・こいる、順子・ひろし、「ゲロゲーロ」の青空球児・好児、ナイツなどが名を連ねてますね。

益子 東の笑いが好きなお客さんが納得する歴代の顔ぶれなんで、恥じないように頑張らないとって思いましたよ。

 

――最近ファン層が広がったらしいですね。

福田 M-1の頃は学生服着た女の子が出待ちで立ってたりしてましたけど。


益子 最近じゃ菓子折提げたお婆ちゃんが建物の陰に並んでます。こっちにお線香持って、脇に花束抱えてる。

福田 それじゃ墓参りだろ! でも、群馬の営業行ったら、素敵なお菓子とバラの花束をお婆ちゃんから頂きましたよ。

――栃木に根付いたネタを演って愛されてねえ。

福田 ええ。ホントに。

――下積み時代の町田を心から愛してるし。

益子 どっちの嫁さんも町田産ですからね。まさに第二の故郷ですよ!

――と言ってるけれども、売れたら、益子さんは杉並、福田さんは世田谷に家を建てるわけだ。大出世ですね!

福田 ええ、そりゃあね。って、ちょっとなんなんですか、その質問(笑)!

益子 潰しにかかる引っ掛けだァ。怪しいインタビュアーだって、高田先生に注意されてたんだよ。心がない人っぽいと思ったんだ、第一印象。

 

――あはは(笑)。で、「陸海空」のアマゾンだから振れ幅が凄い。オンエア見ると、一昔前なら「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」に出て活躍しちゃうレベルですよ。

益子 もう褒められてる気がしねえ(笑)。

福田 あのオファーはマネージャーが決めてきたんです。「アマゾン行くから」って(笑)。

益子 「いきなり!黄金伝説」とかのロケ番組で顔を覚えてくれますからね。

福田 視聴者の方が漫才を見に来てくれますし、舞台だけじゃない笑いもあるので、バランスが僕らも取れるんですよ。トークはまだ苦手なもんだから。大事な仕事ですね。