——これまでご登場いただいた「原色」では、どちらかというと、女性的なファッションや表情にフォーカスしていたように思います。
比嘉 初めて出させていただいた時(2007年)なんて、かなりギャルでしたよね(笑)。そうしたファッションやヘアメイクの変遷を含め、今までの歴史は絶対に消せない大切なものです。
でも今は、性別や年齢に縛られない自分でいたい。「比嘉愛未」というひとりの表現者として、どれだけいいものを届けられるか。だから、誰にも媚びたくないし、驕りたくもない。今回撮っていただいた写真からも同じエネルギーを感じたんですよね。その瞬間、その人、その空間を、素晴らしいセンスでもって、きっちり切り取ってくださって。
常に変化し続けたい、予想を裏切りたい
——『本心』はエネルギーをバッと放出するような写真でしたが、今回は肩の力を抜いてありのままで……と、まったく異なる表現でした。
比嘉 うん、『本心』の時とは全然、顔が違いますもんね。それにふだんの役者というお仕事は、自分の体と心を使って別人になる=役を“入れ”なくてはいけないので、今日のテーマである“レス”とは真逆。力を抜いて、無になって……という在り方は本当に新鮮でした。
——「原色美女図鑑」は、おっしゃっていたように役を離れて「自分自身」として出ていただくグラビアです。だからこそ「こんな人として見られたい」という像があらわれるページでもあるのかなと。そこの感覚はいかがですか?
比嘉 むしろ……うん、「見られ方って何?」ってくらい。
——そこも“レス”になっている?
比嘉 はい。「こう見せたい」というのはエゴであって、その方向性が100%正しいとは限らないじゃないですか。だから今日のように、これまで組んだことのないクリエイターの方とのセッションはいつも刺激的なんです。思いがけない私と出会わせてくれますから。
今日もクールな表情の中に、どこか幼少期や学生時代の自分の顔が覗いていて、瞬間瞬間が面白かった。目指したとおり、今までにまったくない比嘉愛未が写っているはずです。
——20年のヒストリーを重ねても、まだ新しい顔があるんだと。
比嘉 そう。読者の方が誌面をぱっと見た時に「え、この人、比嘉愛未?」ってなると思うんですよ。でも、それが嬉しい。私は変化し続けたいんです。自己実験とも言えるかも。こういう場でも思いっきり遊んで、予想を裏切りたい。自分の像を固定化したくないんです。
撮影 黄瀬麻以
ヘア HORI
メイク Kie Kiyohara
スタイリング 三本和朗

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