——2022年に出版された写真集『本心』の巻末でも「もっとステージを上げたい」「パッションが止まらない」と語っていらっしゃいます。
比嘉 『本心』はまさに35歳の時の作品なんですよ。「原色美女図鑑」でご一緒してから仲良くさせていただいている、藤代冥砂さんが撮ってくださって。自分にとっての転機を刻みたくて、かなり攻めましたね。
——情熱がみなぎっていますよね。
比嘉 そう! ちょっと燃えている感じ。淡路島で3日間にわたって撮ったんですけど、すごく天気にも恵まれて、すべてが奇跡的でした。引き寄せというか、「こうしたい」と願ったものが、想像を超えて返ってくるのを感じました。これからも折に触れて開きたいなと思える一冊です。
——新たな事務所への所属を決めたのも、野心が高じてのこと?
比嘉 そうですね。35歳で目覚めた向上心が徐々に徐々に高まっていくなかで「もう少し違う方向性でチャレンジしたい」という思いもあったので、契約満了を機に、環境を変えてみようと決心しました。
デビューから18年間所属していた前事務所は、私にとって育ての親。ものすっごく恩義があります。でも、ずっと親の元にいるわけにはいかないじゃないですか。やっぱりいつかは巣立ちを経て、自分の力で一人前になって生きていかなきゃいけない。
大人になればなるほど、未体験の場所へ飛び込むのは怖いし、大きな責任も伴います。でも「やらなきゃだめだ」と、去年あたりから強く感じるようになったんです。少しずつ準備を始めて、プロセスのひとつひとつを全部自分の意志で決めていって……。今年、ようやくスタートを切れました。
今までの出来事、そのすべてに感謝していますし、逃げずに向き合ってきたと言い切れる。ちゃんと自分を信じられるから、前を見据えていけるのかな。いきがらず、無理しすぎず、流れるように生きていけたらなと思っています。
性別や年齢に縛られず「できるだけ“レス”でありたい」
——門出という背景も踏まえて、今日の撮影テーマは「誰も見たことがない比嘉愛未」でした。最初のカットを撮った直後から「男でも女でもない気持ち」「できるだけ“レス”でありたい」とお話しされていたのが印象的でした。
比嘉 衣装を纏って、シャッターを切られた瞬間、ポンッと「レス」という言葉が閃いたんです。性別も年齢も関係ない、“個”としてカメラの前に立ちたいなと。