「私の場合は常に“フラット”でありたいんです」

——比嘉さんにとっての「自分らしさ」を言い表すと?

比嘉 ひとりでいる時は「自分らしさ」って見えないじゃないですか。だから、まさに今この瞬間、他の方と一緒にいる場でこそ、それがわかると思っていて。

©黄瀬麻以

 私の場合は常に“フラット”でありたいんです。礼を欠かないことは大前提として、先輩後輩とか子供とかは関係なく、誰の前でも媚びたくないし、気張りたくもない。何も求めず「私はこんな人間ですけど」とお渡しする。そうすると、自分もいい意味で力が抜けて楽な状態ですし、相手にも威圧感を与えない。初めましてでも何度めましての方でも、変わらずにニュートラルでいたいという気持ちです。

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——今日、比嘉さんが現場にいらっしゃった瞬間からオープンな空気を感じたというか、すごく話しやすかったです。撮影終了後も、スタッフ全員とハイタッチしてくださって。

比嘉 赤ちゃんや動物に接する時って、安心させたいじゃないですか。その気持ちなんです、いつ何時でも! さすがによほど凶悪な人だったら私も警戒しますけど(笑)、まずはムツゴロウさんみたいな姿勢で向き合いたくて。「大丈夫ですよ~! 私、無害ですよ」って。

——そのスタイルは以前から?

比嘉 いえ、以前は気を遣い過ぎてしまっていたというか、「現場を良くしたい、みんなを楽しませたい!」と気負って疲れてしまうこともあって。最近になってようやくそれを“超えた”と言いますか、無理をしない方が周りもリラックスできることに気づけたんです、やっと。

 今は大先輩が現場にいらっしゃったとしても……きっとどなたに対しても変わらず、このままの私でいられるかなと思います。

 例えば『フォレスト』でいうと、ありがたいことに、楓の母役の松田美由紀さんとはとても仲良くさせていただいています。作中でバチバチだったのとは打って変わって、美由紀さんのお家に遊びに行かせていただく約束もしているんです。そうやって受け入れてくださったのは、私自身が変に力んでいないからなのかなって思っています。

事務所提供

——経験を重ねるなかで行き着いた答えなんですね。

比嘉 ドラマの撮影では周りの環境が3ヶ月に1回変わるので、相当なコミュニケーション力が必要になると思います。もちろん周囲に対して気を遣い過ぎず、マイペースでいるのも個人の自由。自分らしさって人によっていろんな答えがあると思うんです。

 ただ私はお話し好きですし、せっかくご一緒できるなら、皆さんと仲良くなりたい。映画もドラマもひとりでは作り上げられません。ありのままのリラックスした状態の方が心地いいコミュニケーションになりますし、それはお芝居や作品にも絶対に表れるんですよね。