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宇宙探査に貢献した技術たちの、胸が熱くなる人間ドラマ

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』(小野雅裕 著)――ベストセラー解剖

2018/06/27
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『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』(小野雅裕 著)

 月、火星、木星、そして、はるかその先へ……人類は宇宙の彼方を目指し続ける。それはなぜだろうか? 果てしない営みの背後には、〈何か〉と呼ぶほかない不思議な力がある。宇宙探査の歴史に関するさまざまなエピソードを巧みな筆致で紡ぎあげ、その〈何か〉の一端を指し示した新書ノンフィクションが、話題を集めている。

「80年代に多くの読者を魅了したカール・セーガンの名著『COSMOS』の現代版を作るのが、著者の狙いでした。宇宙に関する科学的なファクトをただ紹介するのではなく、宇宙ロケットの開発で重要な働きをしたフォン・ブラウンをはじめとする技術者たちの姿、テクノロジーの進歩にまつわる人間ドラマを描きたいと考えておられたんです」(担当編集者の坂口惣一さん)

 人間を描くことで〈何か〉を手渡したい。宇宙と読者との架け橋を目指す姿勢は、本の制作過程にも現れた。

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「著者の強い要望で、原稿を一旦書き終えたあと、一般の読者を集めた読書会を4度開催しました。そこからのフィードバックを受けて、図版を追加するなど内容を校了の前日まで磨き上げたんです。読書会は著者のモチベーションも上がりますし、本の熱量が参加者にどんどん伝播して、出版後に口コミが広がるベースにもなりました」(坂口さん)

 内容は濃いが、中学生でも十分に楽しめる。今後、夏休みの読書感想文などでも重宝されそうだ。

2018年2月発売。初版1万7000部。現在5刷5万部

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八 (SB新書)

小野 雅裕(著)

SBクリエイティブ
2018年2月6日 発売

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宇宙探査に貢献した技術たちの、胸が熱くなる人間ドラマ

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