ゴールデンウィークにお盆、年末年始と、長期休暇と切っても切れない関係にあるのが高速道路の大渋滞だ。いかに覚悟していようと、30kmを超えるような渋滞に巻き込まれれば、「一体どこまで続くのか」と気が滅入ってしまうものだろう。

 しかし歴史を遡ってみれば、この程度の渋滞などまだ序の口に過ぎないことがわかる。何しろ日本史上最長の渋滞は、滋賀から愛知まで「154km」にもわたる絶望的な長さだったのだから……。

渋滞の予兆は…

 日本史上最長となる渋滞が起きたのは、1995年12月27日。名神高速の下り線、秦荘PA付近(滋賀県、現在の湖東三山PA)を先頭に、東名高速の赤塚PA付近(愛知県)まで150km超の長大な渋滞が発生した。

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 時期的に年末の帰省ラッシュが原因のように思われるが、この年の仕事納めは28日。もともと渋滞のピークとして予想されていたのは、30日と31日なのだ。一体この日、名神・東名高速で何が起きていたのか。

 現在、この渋滞の原因は「豪雪による通行止め」とされている。しかし当時の報道を追ってみると、事態はもう少し複雑だ。そもそもこの恐るべき渋滞の前兆は、同年のクリスマスから始まっていたのである。

写真はイメージです ©AFLO

 この年、クリスマスの日本列島は、きわめて強い寒波に襲われていた。25日の明け方ごろから西日本各地で大雪警報が発令され、とくに三重県北部地方では、27日の朝まで丸2日間にわたって警報が続いた。

 三重県四日市市では26日、当時観測史上最大となる積雪量53cmを記録。朝日新聞名古屋本社版27日朝刊は、四日市市内にある商店街のアーケード崩落事故や、同市で宿泊行事中だった小学5、6年生たちが帰宅困難に陥っている状況など、多方面に大雪の影響が生じていたことを伝えている。

 連日の大雪は交通機関にも多大な影響を及ぼし、中部・近畿・中国地方の高速道路では各地で通行止めが発生し、寸断状態に。東海道・山陽新幹線でも徐行運転による遅れが生じ、在来線においても運休や遅れが相次いだ。