待ちわびた晴れ間と通行止め解除、しかし…

 問題の名神高速でも、25日から26日にかけて通行規制が実施され、26日午前中にはほぼ全区間が通行止めとなる。通行止めが全面的に解除されたのは、晴れ間の見えた27日、午前8時30分になってからのことだった。

 しかし当然、年の瀬に連日通行止めが続いたのだから、西日本から中日本の物流はすでに大混乱に陥っている。高速道路のIC付近には、何時間も前から開通を待つトラックが列をなし、規制解除とともに各ICから大量の車列が流入していく。

 結果として名神高速は上下線とも大規模な混雑に見舞われ、昼ごろの上り線では滋賀県の栗東ICを先頭に、大阪府の吹田ICにかけて60kmの渋滞が生じていた。

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 下り線でも、昼前の段階で岐阜羽島ICを先頭に愛知県の音羽蒲郡ICまで77kmの渋滞。さらに夕方ごろになると、滋賀県の彦根ICを先頭に、愛知県の豊川ICまで渋滞区間は延びていき、150km規模にまで拡大する。

 日付が変わって28日の午前1時を過ぎても、滋賀県の八日市ICから音羽蒲郡ICまで、150kmの渋滞が続いていたことが報告されている。

 混雑はその後も解消されず、28日午前中の下り線も、愛知県の春日井IC付近で65km、栗東IC付近で20kmと、大雪の影響は長く尾を引いた。29日の段階で渋滞は20km規模まで縮小するが、とうとう完全には解消されないまま、帰省ラッシュのピークを迎えることになった。

一般道や高速出入り口も大混乱

 連日の通行止めは、迂回路となる国道にも多大な影響を及ぼす。27日、国道1号の下りでは、四日市~名古屋市熱田区で約100kmの渋滞、国道23号の下りでも四日市~名古屋市緑区で約70kmの渋滞が発生する。

 読売新聞中部支社版の27日朝刊には、大阪市から四日市市まで15時間かかったと話す大型トラック運転手の声が紹介されている。恐ろしいことに、彼はまだ静岡の浜松に向かう途中なのだという。

写真はイメージです ©AFLO

 物流への影響もさることながら、個々のドライバーの肉体的・精神的な負担は計り知れないものだっただろう。

 高速道路上で通行止めの範囲が随時縮小・拡大されていたことも、混乱に拍車をかけた。通行止め区間の縮小にともなう急激な車列の流入により、名神高速上り線では26日、京都東ICから豊中ICまで47kmにわたる渋滞が発生。読売新聞大阪本社版の27日朝刊には、当時の様子が克明に記されている。

 長時間動かない車列のなかに閉じ込められる人々に、トイレを探して歩き回る人たちの姿。その後の通行止め区間の延長にともない、一般道へと吐き出されていく車列が立ち往生に巻き込まれていく様子。

 一般道の路側帯で停車したまま、運転手が睡眠に入ってしまったトラックや、普段は10分程度の道なのに5時間経っても目的地に着かないという乗用車のドライバーの声も紹介されている。