高架の下の改札を抜けて西口に向かう。駅前広場に出ると…

 新幹線によく似ているのは、駅だけではない。高架の下の改札を抜け、駅の西口に出たらここもまたまるで新幹線駅の駅前広場。

 
 

 何があるわけでもなくとにかくだだっ広い駅前広場。目の前の通りを渡った先には駅前広場と地続きのような公園があるし、よく区画整理された道はどれも幅が広い。

 駅前広場を挟むようにエディオンとヤマダデンキというふたつの家電量販店が並んでいるあたりは興味深いが、どちらも大きな駐車場を備えている。

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 反対の東口。こちらには駅前広場はなく、目の前がすぐに国道430号。「マリーン通り」と名付けられた国道沿いには観光港があるほか、ローソン、ジョイフル、かっぱ寿司、コメダ珈琲、そしてパチンコ屋。

 駅を取り囲むように駐車場がたくさんあって、このあたりも新幹線の駅とよく似た特徴だ。

 
 
 
 

 いずれにしても、悪くいえば殺風景、無難な言い方をすれば人工的、少し前向きな捉え方をすると真新しい。そういう、新幹線の新しい駅前とまるでそっくりな風景が、児島駅前には広がっている。

 事実、この児島駅周辺は1988年の児島駅開業と瀬戸大橋線の開通にあわせて開発された一帯だ。国道にはマリーン通りといういかにもといった名が与えられ、駅周辺の地名は「児島駅前」。

 古い地図や航空写真を見ても、児島駅があるあたりはまったく何もなかったことが一目瞭然だ。まさに、児島は瀬戸大橋とセットで生まれた新参の町といっていいのかもしれない。

駅前から離れ西に向かう。公園を抜けると様子に変化が…

 が、いくら駅の開業から40年近く経ったとはいえ、瀬戸大橋一本槍の駅では特急の停車駅になろうはずもないし、お客の乗り降りもこれほど多くはないはずだ。そこで、駅前から少し離れて西に向かって歩を進めてみよう。

 

 すると、駅前の児島公園を抜けた先、南北に通る鷲羽山通りを越えたあたりから少しずつ様子が変わってくる。