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微妙にクネクネと曲がっているジーンズストリートには、小さいながらも洗練された雰囲気のデニム専門店が軒を並べる。
そんな店々を冷やかしながら散策している人も何人か。どうやら観光客向けの一角のようだから、彼らは地元の人ではあるまい。ジーンズストリートを中心としたこのエリア、いわゆる“デニムの聖地”のような位置づけになっているという。
ジーンズストリートの北の端には、かつてこの地で塩田を営んで財を成したという野崎家の邸宅が文化財として残っている。ジーンズストリートと並ぶ児島の観光スポットなのだろう。ちなみに、駅近くからこの昔ながらの市街地へと続く道は野崎家の当主・野崎武左衛門にちなんで武左衛門通りと名付けられている。
ともあれ、児島駅前から少し離れた廃線と廃駅を囲むこの一帯は、駅前とはまったく違った昔ながらの市街地なのである。そして、実は……などと振りかぶるまでもなかろう、ここが古くからの児島の中心であった。
あの廃駅が「児島のターミナル」だった頃
例の廃線跡は下津井電鉄というローカル私鉄で、廃駅は下津井電鉄の児島駅。1988年に瀬戸大橋線の児島駅が開業するよりずっと前から存在していた、元祖・児島のターミナルである。
なんと開業は1913年。そのときは、周辺の地名にあわせて「味野町駅」と名乗っていた。この下津井電鉄児島駅を中心に、児島、また味野の市街地が形成されたというわけだ。




