――中日ファンは当時はどうでしたか。

ぽぽちゃん 中日は結構空席が目立つイメージでした。ヤクルトファンは持ち込みが多かったですね。2杯目を狙って近づいたら、クーラーボックスからワインを取り出してコップで飲んでいて「いやだー」って思いました(笑)。DeNAファンは……すいません、あんまり記憶にないです(笑)。

 

「売れれば500杯とかいく」都市対抗野球のビール売り子がプロ野球より大変なワケ

――ぽぽちゃんはプロ野球以外でも、社会人の都市対抗野球でも売り子をしていたそうですね。

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ぽぽちゃん 都市対抗野球の方がプロ野球より大変なんですよ。都市対抗って1日に3戦あるじゃないですか。売り子は3試合とも全部出なければいけないので、朝10時から夜の試合が終わるまで働きます。それが1週間以上続くので。

――3試合だと体力的にきつそうですが、逆に儲かりそうですね。

ぽぽちゃん 3戦分が合算されるんですよ。あと都市対抗はお祭りなので、朝の1戦目は1~2杯くらいしかビールが売れないんですが、2戦目とか3戦目が売れれば500杯とかいくので。そうすると達成賞がつくので、そこのプラスがかなり大きいです。

つらかったけど幸せだった青春のビール売り子

――稼いだお金は何に使ってたんですか。とくにシーズン中は毎日試合があるので、使う暇がないのでは。

ぽぽちゃん 終わったあと、そのまま先輩と飲みに行くんですよ。「今日ご飯行きますか?」じゃなく「何食べる?」という感じで。ナイター終わりで終電に間に合わなかったら、朝まで飲んでました。それも楽しかったです。

 

――これまでのお話を聞いていると、ビール売り子はぽぽちゃんにとっての青春と言えそうですね。

ぽぽちゃん 本当に大変で、1年に1回は樽を背負いながら、自分だけ売れないと泣いてました。振り返るとつらかったなって。

 でも、そんな中で頑張れたのは、やっぱり先輩たちが声をかけてくれたり、ビール1杯が売れた嬉しさだったり。

 何より、ビールくださいって声をかけてくれるお客さんがいることが幸せでした。今でも1日だけビール売り子をやりたいくらいですね(笑)。

撮影=細田忠/文藝春秋

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