万博開催国の日本人が、1人の女性を叩きのめしにくる怖さ
――コスプレやコミケといった文化は著作権的にかなりデリケートなところもあります。当然、そこにはいろいろな考えがあると思いますが、鹿乃さん個人がその点について、どう考えているかはあくまで個人の自由です。
鹿乃 例えば私がアメリカ大統領で、二次創作について言及したら明日そうした世界になる、という状況なら今回のような叩き方もわかるんです。
でも、私ひとりにそのような力はありません。悪質なルール違反をすれば規約改訂で界隈全体に迷惑をかける可能性はありますが、万博でのルール、マナー違反に気を使っていることは、noteを読んでもらえればわかると思います。その中で一個人の考えに対して、ここまでいろいろな人が叩きにくるというのは怖さを感じました。
そもそも万博って国同士で絶対に相容れない宗教観、諍いとかを一回脇に置いておこうというものじゃないですか。その横で開催国の日本人が1人の女を叩きのめしにくるという構図はクールじゃないとも思います。
コスプレ会場では「応援してるよ」「頑張ってね」という言葉も
――誹謗中傷を受けた後に、4月26、27日に開催された「ニコニコ超会議」にもマルシルのコスプレで参加する様子をSNSで上げていました。会場の反応はどうでしたか。
鹿乃 すれ違う人、写真を撮ってくれる人から「応援してるよ」「頑張ってね」という言葉をたくさん言ってもらいました。ただ、やっぱり怖さはありました。嫌がらせを受けるかもしれないと気にしていたのを見て、私のフォロワーさんが会場で一緒に歩いてくれたりもしました。
SNSを見た人からは、私は原作をリスペクトしない人と思われているんだろうなと不安でした。だから普段なら素敵だなって思ったコスプレイヤーさんには私から写真をお願いするのですが、今回はほとんどしなかったです。
ただ最後に1人だけ、私が初期からお手本にしていた有名コスプレイヤーさんに声をかけたんです。その方はすごく戸惑いながら「お話ししますか」って言ってくれて。それで少しお話をして、写真を撮って帰りました。
その後に、その方がDMで「さっきはぎごちない態度をとってごめんなさい。あなたの一次創作と二次創作の考え方には賛成はできないけれど、あなたのコスプレは素敵だったし、あなた自身も素敵だと思ったから、またよかったら写真を撮ってください」と連絡をくださって。その方に「キャラをお借りする」という言葉がなぜ嫌いになったのか説明したら全部分かってくれました。
