クリロナ、ネイマールのPK成功率は?

 実を言うと、身体能力が高く頻繁にゴールを奪う点取り屋でありながら、PKの成績が驚くほど凡庸な選手は大勢いる。その中には、過去数年間ヨーロッパで活躍した主要な点取り屋も含まれる。たとえばチーロ・インモービレ(成功率82・8%/キック総数93本)、エディンソン・カバーニ(81・6%/76本)、キリアン・ムバッペ(80・4%/51本)、マルコ・ロイス(79・2%/24本)、ラダメル・ファルカオ(79・1%/67本)、トーマス・ミュラー(78・9%/38本)、アンドレ・シルヴァ(78・4%/37本)、ピエールエメリク・オーバメヤン(78%/50本)。トップレベルのストライカーでありながら、PK成功率が平均以下の選手もいる。たとえばサディオ・マネ(73・9%/23本)、ホセル(69%/29本)、ヴィクター・オシムヘン(68・4%/19本)、ラウタロ・マルティネス(65・2%/23本)、およびアレクシス・サンチェス(47・6%/21本)。

クリスティアーノ・ロナウド ©JMPA

 ヨーロッパの主要リーグのなかで、この10年間で最高のPKキッカーとみなされる選手たちですら、平均をわずかに上まわっているに過ぎない。たとえばクリスティアーノ・ロナウド(84・9%/192本)、ズラタン・イブラヒモヴィッチ(83・2%/102本)、ネイマール(81・3%/91本)、モハメド・サラー(80・4%/51本)、カリム・ベンゼマ(79・2%/53本)。

ポジションで成功率は変わるのか

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 PKやPK戦での技術の影響力について、研究論文には何と書かれているだろうか? 言うまでもなく、技術を数値化して測るのは簡単ではない。研究を始めたばかりの頃、われわれは技術の代わりにポジションを利用した。攻撃重視の選手(MFやFW)はDFよりもシュート経験がはるかに豊富だから、PKのスキルも上手だと考えるのが合理的だろう。われわれの調査結果では、FW(80%の成功率)の方がDF(67・7%の成功率)よりも得点力が高かった。だが、試合中のペナルティによって獲得するPK(つまりPK戦ではない)を調べたところ、ポジションの違いはほんのわずかか、ほとんど影響しないように思えた。ポルトガルのプリメイラ・リーガでは8年間で833本のPKが蹴られたが、その内容を調べた結果、FWの得点率は79・6%、MFが78・7%、DFが75・4%だったという。スポーツ分析会社〈インスタット〉のレポートによると、10万本以上のPKを対象に調べた結果、得点率の高さについての順位は変わらないものの、その差はさらに縮小してFWが76%、MFが75~76%、DFが73~74%、GKが72%だという。