「ボールにはずっと苦労してきたんです」
――パチューカでは高地により気圧の影響もあったけど、セットプレーからのアシストを確実に増やしていた。キックのフィーリングをW杯本番まで維持しようと?
「そうですね。でも、ボールにアジャストするのに時間がかかってしまった。(大会公式球の)アディダスの。それは、テストマッチのガーナ戦でもそうやったんです」
――正直、スイス戦も全然キックが良くなかった。
「そう。だからボールにはずっと苦労してきたんです。正直、まだちょっと苦労しています。FKも含めて。でも今日は、サコと練習で繰り返してきたのが出た。いい感じで結果につながった。このイメージを持ちながら、自分のキックも早くカムバックさせようと、その感覚的なところを大事にしている。また、カザン(ベースキャンプ地)に戻ったら、キックにトライしていきますよ」
――パチューカでセットプレーからのアシストが多かった。それを代表でもできるか?
「そこなんです。それはゴール前に入っていく選手がボールを信じてくれるかどうか。そのコミュニケーションはしっかり必要で、パチューカでもそれで成功できた。どれだけいいボールを入れても、そこに味方がいないと意味がない。あうんの呼吸。(パチューカのFWでチリ代表の)サガルの頭に当てる、まさにあのイメージですよ」
ゴールという結果に絡んだという事実
そして最後に聞いた、“一発”について。本田がこのロシアW杯で足跡を残せるかどうかに、大きく関わってくることである。
――もう一つ。今は大事な試合で重要な“一発”を出せるかどうかに集中している。今日のアシストも“一発”に含まれるのか?
「もちろん欲を言えば、最初のシュートをやっぱりミートさせたかった。でも、あそこでゴールという結果に絡んだという事実――。僕自身、そのためにピッチに立っているんです」
繰り返しになるが、依然動きは重く、ミスも目立つ。ピンチにつながるようなプレーもあった。今やそんな本田に対する批判は数多い。そこには理にかなった指摘も存在する。
それでも、日本の勝利を生んだ瞬間、そこに彼は直接絡んでいた。いや、本田からすると、意地でも絡んでみせたのかもしれない。逆風吹き付ける中で示した“一発”。当然、こんなアシスト止まりのものではないさらなる衝撃を、彼自身は思い描いている。
大舞台では、ただ黙っていることなどない。本田圭佑の真骨頂を、コロンビア戦の裏側で見た。