2025年5月1日、中森明菜はデビュー43周年を迎えた。思い起こせば2022年、40周年記念に「中森明菜@akinan_official」としてX(当時はTwitter)のアカウントを立ち上げたのは8月30日だったが、あれからもう約3年も経つのかと驚く。

中森明菜 ©文藝春秋

 突然の復活に心配と期待の両方の声が上がったが、明菜は今も順調に活動範囲を広げている。今年4月19日~20日には、小室哲哉とタッグを組んで、野外フェス「ジゴロック2025 ~⼤分“地獄極楽”ROCK FESTIVAL~ supported by ニカソー」に出演。

 広い会場はギッシリとファンで埋まり、明菜あきなアキナAKINAとあちこちから飛ぶ歓声。中森明菜はそんな観客に向かい、小さいのに不思議とかき消されない声で、ユーモラスにこう返していた。

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「生きてたぞぅ」。

公式YouTubeより

 4月22日には、稲垣吾郎がパーソナリティをつとめるTOKYO FM『THE TRAD』に出演。5月1日には初のトリビュートアルバム『“明響”』がリリースされ、同日、その記念に開催されたコンサート『中森明菜 Tribute Concert “明響”』にもサプライズで登場している。

 これまで幾度も活動休止と復帰を繰り返しているが、今回はなにか少し違う。「表舞台に戻る」というより、誰かに感謝を伝えにきたイメージとでも言おうか。ゆっくりと扉が開き、彼女を待っていた人たちに笑顔を返す、そんな風に見えるのだ。

 今の彼女の姿に、もう一度伝説が動き出したようで、本当に力をもらうのだ。

 今年の活動を、少し振り返ってみたい。

SMAPファンだった中森明菜

 4月22日のラジオ『THE TRAD』では、中森明菜の大ファンという稲垣の素直な進行が、彼女の無邪気さを引き出していた。

 いきなり「なっかもり明菜ですぅー♪」という自己紹介。あまりの可愛さに腰が砕けたファンも多かったことだろう。

 中森明菜と稲垣吾郎の初共演は「SMAP×SMAP」の記念すべき初回、1996年4月15日まで遡る。SMAPは、森且行をふくめての6人時代で、明菜は歌のゲストとして登場。「TATTOO」と「がんばりましょう」をSMAPとともに歌っていた。

 あれからずっとSMAPのファンだったと語る明菜に、「そわそわそわ、それは嬉しい!」と噛みまくるなど、稲垣の浮かれっぷりが声色で伝わってくるのも微笑ましい。

公式YouTubeより

 昨年、コラボレーションをした香取慎吾「TATTOO(feat. 中森明菜)」のレコーディング秘話から、稲垣が「もしも僕がカバーするなら『ミ・アモーレ[Meu amor e...]』か『ジプシー・クイーン』」と発言。これを受けて明菜は、

「異国情緒が大好きだったんです。昔、『異邦人』ってあったじゃないですか。ああいうのが大好きで、ああいう感じの曲をいただけないでしょうか、とスタッフにお願いして」

 という誕生秘話も飛び出した。

 なるほど、名曲は新たな名曲を生む。そして、もしかすれば、稲垣吾郎とのコラボで「ミ・アモーレ[Meu amor e...]」か「ジプシー・クイーン」が聴けるかもしれない。

 このラジオで大きな話題になったのは、明菜が語った松田聖子へのリスペクト。「裸足の季節」をレコード店の開店前から自転車を飛ばして買いに行ったエピソードを披露していた。