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パラグアイ戦はチームの何を変えたのか

 そして本大会前最後のテストマッチとなったパラグアイ戦。指揮官は当初の予定通り、すべてのスタメンを入れ替えた。その試合で日本は快勝する。負傷で出遅れていたものの先発出場した岡崎慎司が試合を振り返る。

「ガーナ戦、スイス戦のフィードバックがあり、自分たちがやろうとしているものを最低限、具体化、具現化できたのがパラグアイ戦だった。それまでメンバーを固定して戦い、最後のパラグアイ戦で今まで出ていなかった選手が出て、勝ったことで、より一体感は生まれたと思います」

岡崎慎司 ©JMPA

 ロシアのカザンにある拠点に移動後、非公開でのトレーニングやミーティングでは、選手間のディスカッションが徹底的に行われたという。「選手にはさまざまな考え方やスタイルがある。それをぶつけ合いながらも、最後には監督が決断を下す」と長谷部誠がその様子を語っている。

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「西野さんは変化に対応できる選手を選んでいる」

 そして、岡崎は“西野流のチーム作り”についてこう語る。

「西野さんは変化に対応できる選手を選んでいると思う。いろいろなタイプの選手がいるなかで、スタメンが一定のベースを作り、そこに途中から出てプラスアルファを加える選手が重要なカギを握る。そういう意味では、スタメンを完全に固定して試合を重ねるよりは、メンバーを入れ替えながらやったことで、誰がどのタイミングで出ても力を発揮できるという体制が、全体的にできあがっていると思う。誰もが役割を全うできる形にはなっていると思います」

 ガーナ戦、スイス戦と、ただ不甲斐ない試合を重ねていたわけではなかった。課題や修正点を選手たちが共有し、変化することを恐れず、向かうべき場所へと歩みは進んでいたのだ。

©JMPA

「閉塞感」を打開するために「多様性」を示した

 西野監督に託された時間は短いものだった。

 チームのスタイルを決めて、スタメンを固定し、その精度を高めていく。親善試合3試合をそう使うこともできたはずだ。しかし、西野監督は初戦のガーナ戦で日本代表には馴染みの薄い3バックを採用している。たとえこの試合で勝利しても3バックはオプションでしかなかったはずだ。それでも前監督との違いをまず示す必要があったのかもしれない。

 それは、自らが就任会見で選手に求めた「多様性」を示すことでもあった。ハリルホジッチ前監督が、自分の型に選手を落とし込むことに注力しすぎて生み出した「閉塞感」。それを打開するためだったのだろうと、今は思える。そのために3つの親善試合を費やした。

 そして、ロシアへ入り、一気にチーム作りが進む。