「原宿」「六本木」よりも「町屋」「亀戸」が人気
『アド街ック天国』は、「テレビ東京のゴールデンタイムの番組をやらないか」と声をかけてもらって、企画を考えたんです。テレビ東京でやるなら、テレビ東京でしかできないものがいいと思った。それで、「東京」しか取り上げないという企画。「毎回東京のひとつの街だけを取り上げる番組」にしようと。これはテレビ東京ならではだって自信満々に提案したら、局の担当者が「うちは他にもネット局がありますよ……」って(笑)。
「東京だけって言ったって、銀座、浅草、渋谷、池袋……とか、10 回くらいやったらもう他にできないじゃないですか?」
「いやぁ、大丈夫ですよ!」
笑って応えるんだけど内心は何とかなるだろう……って。しばらくは東京以外の街はやらないコンセプトで地方はかたくなに拒んでいたのですが、ある時期からネット局もあるので、しょうがないなって少しずつ地方の街も扱うようになりました。そのうち段々と「溝の口」とか「平井」とかシブい街でもできるようになって、テレビって面白いなあと思いましたね。
「町屋」とか「亀戸」のような地味な街のほうが、「原宿」とか「六本木」とかより、いまは数字を獲りますからね。逆に狭くしていったほうが受けるんです。「浦和」だって北浦和、南浦和、東浦和、西浦和、武蔵浦和……って何回もできるようになってきた。
20年前の「町屋」回のある家で、野球のバッティングトレーニングをしている親子がいたんですよ。それが今シカゴ・カブスにいる鈴木誠也※の少年時代。永久保存版です。『アド街』にはこういう過去素材がいろいろ眠ってるんですよ。
※ 1994年生まれ。二松学舍大学附属高校卒業後、2013年に広島カープに入団。21年の東京オリンピックでは日本代表の4番を打った。22年、渡米しシカゴ・カブスに移籍。
