減税政策をめぐる立場と、成長戦略

 参院選で大きな争点となるであろう減税政策に関しても、安野氏は独自の立場をとる。「変化に対応できる財政システム」の構築を掲げ、物価高やコロナ禍のような社会変化に応じて、柔軟に税制を変更したり、困っている人に必要なタイミングで即座に給付できる仕組み作りが急務と考える。

 各論でいえば、ガソリン税の暫定税率の撤廃には賛成。最低賃金の上昇に鑑み、所得税の「103万円の壁」の引き上げには賛成。消費税に関しては短期的には足元の家計を支えるため、合意可能な減税ラインを探っていくべきというのが安野氏の考え方だ。

 だが、こうした再分配の議論以上に、日本のパイそのものを大きくする中長期の成長戦略を重要視し、次の3つの必要性を訴える。

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「ITにおいてもAIにおいても、日本は現状出遅れています。でもよく言えば、これは伸びしろがあるということ。テクノロジーによって改善できる部分に、即効性のある手を打つのがまず一つ。二つ目が、AIが指数関数的に進化したりブロック経済圏が進行したりして世界の不確実性が高まるなかで、“変化に対応できる”しなやかな社会システムをつくること。三つ目が長期的な成長のための投資――とくに教育における人づくりは未来をつくることですから、新産業育成のための大胆な投資も必要です」

『1%の革命』

 そのスリリングな成長戦略は、著書『1%の革命』に詳しい。「1%の新しいことにチャレンジする人々」が世界を変える、というのが安野氏の信念だ。「歴史を振り返ってみても、最初の一歩を踏み出す1%のイノベーティブなアイディアと行動が、人々の暮らしに大きな変化をもたらしてきた」からだ。

「チームみらい」が国政政党の要件を満たすには、120万票――日本の人口のおよそ1%の支持が必要となる。安野氏の改革への挑戦は始まったばかりだ。

「戦後日本で30代の党首がゼロから国政政党を設立できた例はかつてありません。今回、『1%の革命』が実現することは、永田町の新陳代謝を促し、硬直化しているシステムを進化させるきっかけになると考えています」

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