同い年の小林幸子に触発され……
阿川 ひばりさんに憧れてたの?
研 ひばりさんや、島倉千代子さんや、小林幸子さん。サッちゃんは同い年なんですけど、小学校のときにもうデビューしたじゃないですか。それを見て「子どもでもデビューできるんだ」と思って。
阿川 私も同い年だからわかります。衝撃でしたよね。
研 そこからもう「デビューするんだ」ってガンガンに燃えちゃって。
阿川 しかもそれは、兼業農家で死にそうになって働いているお母さんを楽にさせたいっていう思いもあったそうで。昭和の鑑みたいな娘。
研 そうなんですよ。娘だから、家事の手伝いからおばあちゃんの介護まで全部……。
阿川 介護もやってらしたの!
研 はい。一度学校から帰ったら、また山を降りて今度は病院でおばあちゃんのお薬をもらうんです。で、帰ってから薬を塗ってあげて、おしめ替えてあげて、浴衣替えてあげて。おばあちゃんが「痛い」って言うときは体勢を変えてあげたりして。
阿川 優しい孫娘……この映画と同じことやってるじゃないですか!
研 そうなの。「ナオコちゃんは偉いね〜」って言われてね。
阿川 学校の成績も良かったそうですけど、それが突然、高校1年のときに「歌手になる」って?
研 うん。本当は義務教育が終わったら、東京へ出て歌手になりたかったんですよ。高校受験なんか、時間もお金ももったいないと思ってたから。うち、ほんとにお金がなくて、給食費を入れる封筒を渡されたときに、親に見せられなかったくらいで。
阿川 言い出せなかったんですか?
研 3カ月ぐらいランドセルにしまったまま(笑)。それで学校からまだ支払ってないって連絡が来てバレちゃって。お金がないだろうから言い出せなかったって言ったら、お母ちゃん落ち込んじゃったんです……。逆に可哀そうなことをしました。
